ベー・チェチョル(Bae Jae-Chul)
1969年大邸(テグ)に生まれる。ソウルの漢陽(ハニャン)大学を卒業後、イタリアのヴェルディ音楽院を修了。直ちにヨーロッパ各地の声楽コンクールにて優勝を重ねデビュー。その後ヨーロッパ各地の主要歌劇場にて主役を演じ、大きな成功と評価を勝ち取り、「アジアのオペラ史上最高のテノール」と称された。しかし2005年秋、甲状腺ガンに襲われ、声帯および横隔膜の神経を切断、歌声と共に右側の肺の機能を失う。
その後、多くの日本のファンの支援を受け、音声外科医の世界的権威である京都大学一色信彦名誉教授による声帯機能回復手術を受ける。厳しいリハビリを経て、2008年12月東京にて奇跡ともいえる舞台復帰を果たした。
それ以降医学の常識を超える驚異的な回復を遂げ、現在活発な演奏活動を展開。苦難を越えて響くその歌は「奇跡の歌声」と呼ばれ、聴衆の魂に届く深い感動を与え続けている。
2014年、その人生の軌跡を綴った日韓共同制作による映画「ザ・テノール 真実の物語」が日本と韓国で公開され、その後台湾、香港、イスラエルなど各国で上映が広がっている。
2016年オペラシティで開催された「日野原重明プロデュース ベー・チェチョルコンサート」では皇后陛下のご来臨を賜った。
右側の声帯が完全に麻痺した状態で歌っている、世界の歴史でも唯一の声楽家。