配信
1.CHIRO with TETSUNIQUES / She Don’t Dub
2.CHIRO with TETSUNIQUES / She Don’t Let Nobody But Me
3.MOOMIN / My Baby
4.JOY TOY / 莫愁1922-1938 (Twilight Reggae Remix)
5.RICKIE G / 恋しくて Dub
6.RICKIE G / 恋しくて
7.MINMI / アイの実 -Autumnal Sky Mix-
8.CRISS from FIRE BALL / Everything I Own Dub
9.CRISS from FIRE BALL / Everything I Own
10.LISA / Come Back To Me -7 Windsor Avenue Kingston 5-
11.有坂美香 from REGGAE DISCO ROCKERS / All Through The Night
12.JAY'ED / Shining☆Star (HASE-T Remix)
13.HAN-KUN from 湘南乃風 / トワイライト・アヴェニュー
14.MOOMIN / ネバギバ (Caribbean Sea Remix)
15.HASE-T / BoomBox Skit
16.Miss Monday & SOLDIER / 解放区
17.SHAKA-T & SCAR FACE from SUNSQRITT / Party Ride
18.NORSIAM-X / The Goddess Workout feat. イロコマネチ
19.PAPA B / Sugar Pie
20.RANKIN TAXI / Girl Gone Wild
21.RYO the SKYWALKER / Iko x Iko
22.RYO the SKYWALKER / Iko x Iko
23.NICK WOOD / Passion (Carnival Train Remix)
24.SINGASUN / SHA-LA-LA
25.H-MAN / 飛んどけ跳ねとけ 02
26.MEGARYU / Mr. 45
27.NORISIAM-X / エックスセラピー 『女医Xのオ・シ・エ・テ・ア・ゲ・ル』
28.CRISS from FIRE BALL / Cruisin
29.MONKEY KEN / Step By Step (HASE-T Version)
30.HASE-T / Over & Over
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Mixed by MA$AMATIXXX from RACY BULLET
*本作品はノンストップMIX CDとなり、オリジナル音源とは収録分数が異なります。
ライナーノーツ
HASE-Tという名前を目、耳にしての“反応”は、世代の違いがハッキリとその答えに出るタイプのモノだろう。つまり、筆者の様な30代(と言ってもギリギリだが・・・)、もしくは40代の人にとっては“歌い手(DeeJay)HASE-T”の姿が未だ瞼に強く焼き付いているし、逆に20代〜10代の、レゲエを聴き始めて5年未満くらいのコにとっては『DANCEHALL PREMIER』シリーズのイケてるプロデューサー、という意見が大半だと思われる。HASE-Tは実際に数年前までその2つを両立させていた珍しいタイプのアーティストだった。だが、トラック制作に文字通り打ち込む時間が増えるとともに、現場でマイクを握る機会は減っていった・・・その事実は、彼が“うた”に対して興味が無くなったことを示すのではなく、むしろ新しい世代のアーティストを含めて、その可能性をまた違った形で伸ばしたい、引き出す方へ回りたいと考えた上での大英断が呼んだ結果なのだ。歌い手こそは激増したがリディムメイカーは需要に追いつけるほどの頭数がない。そんなここ日本における慢性的な“オリジナルのオケ不足問題”を解消すべく、本場ジャマイカに負けないクオリティーとアイデアを備えた国産オケの数々を凄まじい勢いと集中力で量産するに至ったHASE-T。彼の名にある“T”の字は、ご存知の通りTeacherの略である。では何故“センセイ”なのか。それは、人に何かを教えられるくらい知識が豊富で、人間的な器が大きいということに他ならない。彼がレゲエDeeJayとしての活動を開始した1988年当時、ヒップホップ界では BDPのKRS-ONEが真実を語る無免許教師として支持を集めていたが(その頃のレゲエ・ファンも皆聴いていた!)、Teacherであることは Speakerであることと必ずしもイコールではなく、Producerという立場もまた本来は“T”の資質の上にこそ成り立つもの。彼がペンを執る『Riddim』誌でのリズムトラック解説の連載(不定期登場)からも、その先生たるゆえん、論理的思考の鋭さや、その根源となる“汲めども尽きぬ探究心/研究者魂”は垣間見ることが出来る・・・・なんてことは、彼の音にドップリ、のレゲエ人には言わずもがなだが。
『BoomBox Vol.1』と題された、このHASE-T初の“仕事集”は『DANCEHALL PREMIER』以降の怒濤の5年間に焦点を当てたモノだ。件のシリーズはその間にアルバム単位で7枚(!)、曲単位ではのべ95!!(イントロ、スキットを除く)ものチューンを生んできたことになる。しかもHASE-T仕事はそれだけにとどまらず、MOOMINやPAPA Bらレゲエ・アーティストのアルバムへのプロデュース参加から、他ジャンルの例えばR&Bやヒップホップ・アーティストとのセッション・・・と多岐に渡っている。パンク、ニューウェイヴ(・ロック)からヒップホップ、ワールドミュージックまで、自らのアンテナに引っ掛かってきた音楽を貧欲に吸収してきた“年季の入った音楽馬鹿”で知られるHASE-Tだけにそうした“変化球”もお手のもの。“リミキサー”としても指名率が高いのも、そうしたバックグラウンドに裏付けられたフレキシブルな仕事ぶりゆえ、だろう。また昨年、イキナリのアルバム『1st FOOD』で大いに驚かせてくれた、RACY BULLETのセレクターMA$AMATIXXXとのプロデューサー・ユニット=GIFTED CHILDSでの“裏方の枠を超えたアーティスト・スタンス”(喩えるならばNEPTUNESのようなー)も、持てる引き出しの数が多く、未来的刺激に常に飢えた“永遠の若者”の彼らしいフットワークの軽いものだ・・・。因みに本盤に収録されている“歌い手HASE-T”の楽曲は、“サンダーゲート/ユニバーサル”より2001年に発表された『Over & Over』のタイトル曲一曲のみ。同作は“Blaze Beats Productions”としてトラックメイキングにも力を入れ始めたちょうど過渡期にあたる時(『DANCEHALL PREMIER』はその翌年に始動)の貴重なセルフ・プロデュース物、である。
それらHASE-T自らがピックアップした音源をノンストップでミックスするのは、GIFTED CHILDSの相方でもあるMA$AMATIXXX。『PREMIER MIX』に続く、鉄板的な組合わせであるが、現場感を意識したド派手なミックスが売りだったそれに比べ、今回はアーカイブ的なトータル感のある“じっくり聴かせるタイプ”の一枚となっている。先生の爆音玉手箱=BOOMBOXは、勿論そうした予備知識ナシに“反応”出来るモノだ。そしてそこから“掘り下げたくなる”効果にこそ“違い”がある・・・と筆者は信じてやまない。
2007年3月 二木崇(D-ST.ENT.)