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上岡が鬼気迫る集中力でつむぎあげる渾身のシューマン!
2010年が生誕200年となるシューマンの傑作、交響曲第4番では、2004年から同交響楽団を率いる上岡とオーケストラによる、情念と生命力に溢れる演奏が繰り広げられます。《ハイドン変奏曲》も気品漂うタクトに、ブラームスの管弦楽の醍醐味を伝えます。
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 op.56a
シューマン: 交響曲 第4番 ニ短調op.120
[総収録時間:47.58]
★指揮:上岡敏之、ヴッパータール交響楽団
ライヴ録音:2008年10月19、20日 ヒストーリッシェ・シュタットハレ(ヴッパータール)
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90分にもおよぶブルックナー第7、非常にロマンティックなR.シュトラウスの「ドン・ファン」、そして極めて魅惑的な弾き振りのモーツァルト。前回の上岡/ヴッパータール響の公演は近年、最も印象に残るものだった。そのコンビがこの秋に再来日するというのは非常に嬉しいニュースだが、それに合わせての新譜も実に興味津々だ。 耳にすることが出来たのはブラームスのハイドンの主題による変奏曲とシューマンの交響曲第4番。まずブラームスだが、たいへんに柔らかく繊細である。響きのバランスや息づかい、テンポの流動に細かく神経を配りながらもそれを決して表立たせず、あくまで自然にさりげなく音楽が流れる。最近は単に流行に追随したり、奇をてらったりする演奏が多いが、上岡はそうした流れとは全く関係なくしっかりと自分の言葉で語っている。これぞ信頼できる音楽家の証である。 シューマンも素晴らしい。結論を先に言ってしまえば、音質も含めた演奏内容という点では間違いなくマイ・ベスト、新定番の登場である。多くの人がきっとそうであろう、この曲を聴く時、あのフルトヴェングラー/ベルリン・フィルという異形の名演がいつも頭をよぎる。しかし、私はこの上岡の演奏を聴いて、本当に久しぶりにフルトヴェングラーのことを忘れて作品を味わうことが出来た。解釈の基本はブラームスと同じである。第1楽章の若々しいロマン、そして夢を見るような第2楽章。さりげなさを基調とした第3楽章、そして第4楽章も流麗で響きが非常によく溶け合っているが、最後は素晴らしい加速で締めくくる。また、SACDで発売されることにも感謝したい。CDで聴いても良いが、SACDでの感銘度は言葉に尽くせぬものがある。 (音楽評論:平林直哉) |