現代音楽の巨匠が生涯書きつづけた、生きる喜びも悲しみもいつくしむ「うた」。
新時代のソプラノが、その息づかいまですくいとる。
2026年、武満徹の没後30年に、その「うた」の新たな姿を届ける一枚。
世界的な現代音楽の作曲家として知られる武満徹が、生涯にわたって書きつづけたのが、シャンソンやジャズ、歌謡曲の香りをまとった歌曲の数々でした。谷川俊太郎、荒木一郎、秋山邦晴ら、日本を代表する言葉の担い手による詩と結びついたこれらの作品は、ジャンルを超えて今なお歌い継がれています。しかしながら、クラシックのソプラノがフルアルバムとして録音した例は、これまでありませんでした。本作は、その未開拓の領域に正面から挑んだ、初めての一枚です。
歌うのは、新世代のソプラノ、熊木夕茉。
コロラトゥーラ・ソプラノとしての輝かしい声とテクニックを持ちながら、魅力的な地声と、さまざまなジャンルの音楽の本質に直感的に迫るセンスを兼ね備えた、まさに新時代の歌い手です。指揮者・原田慶太楼がオペラのオーディションでその才能に驚き、山田和樹に紹介。彼もその声に惚れ込みました。現在はミラノで研鑽を積みながら、東京交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会にソリストとして招かれるなど、活躍の場を広げています。そのデビュー盤を支えるのは、山田和樹自身のニュアンスの豊かなピアノです。世界の第一線で活躍する指揮者でありながら、自身のキャリアで初めて、一枚を通して全16曲の伴奏を務めました。
「小さな空」「翼」「死んだ男の残したものは」をはじめとする全16曲。シャンソンの抒情、ジャズの和声、クラシカルな構築性——いくつもの表情を併せ持つ武満の歌曲に、クラシックの発声と解釈で向き合います。歌とピアノだけの親密な編成だからこそ、言葉の息づかい、旋律の陰影、そして沈黙までもが鮮やかに立ち上がります。日常にそっと寄り添う温度と、時代を超えて響く普遍性を、熊木夕茉の声が伝えてくれる一枚です。
■リリース情報

武満徹のうた SONGS of Toru Takemitsu
2026/8/26発売
UHQCD:COCQ-85658 ¥3,500 (税抜価格 ¥3,182)
1.めぐり逢い
作詞/荒木一郎
2.さようなら
作詞/秋山邦晴
3.翼
作詞/武満徹
4.昨日のしみ
作詞/谷川俊太郎
5.見えないこども
作詞/谷川俊太郎
6.恋のかくれんぼ
作詞/谷川俊太郎
7.素晴らしい悪女
作詞/永田文夫
8.島へ
作詞/井沢満
9.明日ハ晴レカナ、曇リカナ
作詞/武満徹
10.小さな空
作詞/武満徹
11.雪
作詞/瀬木慎一
12.小さな部屋で
作詞/川路明
13.ワルツ
作詞/岩淵達治
14.死んだ男の残したものは
作詞/谷川俊太郎
15.うたうだけ
作詞/谷川俊太郎
16.○と△の歌
作詞/武満徹
熊木夕茉(ソプラノ)
山田和樹(ピアノ)
水谷晃(ヴァイオリン)
録音:2025年6月25〜27日 タカギクラヴィア松濤サロン