去る3/14(土)、すみだトリフォニーホールにて開催された、ジョバンニ・ミラバッシ・トリオ・〜アニメ・ソング・ブック〜のコンサートにライブレポーターとして参加されたみなさまからのレポートをご紹介します。
<H.Mさん>
久しぶりのミラバッシライブとなりましたが、相変わらずのミラバッシ節を十分堪能することができました。
今回アニメッシが中心でしたが、ジブリ系の作品はとてもミラバッシの演奏にマッチしています。メロディーといい、あのスケール感、ストーリー性といい、ミラバッシの演奏によりさらに素敵にしてくれます。
今回は“さくらさくら”の演奏がありましたが、こちらは感動ものでした。東日本大震災後に日本に向けて送られた1曲ですが、どんなに寒い冬でもかならず春が来るという強いメッセージ!ミラバッシの演奏にはこの強いメッセージがこめられているからこそ聴く人を魅了するんだなということを改めて感じました。
ラストの“君をのせて”で最高の盛り上がりをみせ、アンコールは2回も応えてくれ、大変満足のいくライブでした。
今後のアルバムやまたの来日が今から待ち遠しい限りです。
<poissonさん>
改めて確認してみると、ミラバッシ氏のコンサートに行くのは8年ぶり。8年前のコンサート日記を読み返してみると(2007年3月20日、武蔵野市民文化会館ソロピアノコンサート)、オリジナル曲をメインに演奏した後、アンコールに「日本でとても有名な曲です」といってどこかで聞いたことがある曲を弾き始めた。「この曲なんだったかな」と思ったら「ハウルの動く城」のテーマ曲を弾いたとある。その時は、日本で演奏する為、日本人に馴染みがあるだろう曲を選曲したのだと思った。
今回のコンサートのプログラムを見て改めて思ったのは、2007年のアンコール曲も然り、ミラバシッ氏が純粋に「アニメおたく」なんだということ。日本人である自分が知らないアニメのタイトル、見たことあるアニメでもあの曲をチョイスしたか!という選曲。
1部、2部ともにソロで演奏した「さくら」を除き全てアニメソングで、アニメを見たことあるなしにかかわらず、どれもミラバッシ氏独特のエスプリが効いた「ジャズ」に仕上がっていた。(8年前のコンサート以来、ミラバッシ氏を勝手にフランス人かと思っていたけれど、イタリアの方だったのですね。でもフランスに長く住んでいらっしゃると知り、なんだか納得(^-^))
アンコールは3曲演奏。次はどんなアニメ曲を演奏するのかというこちらの期待を裏切り、オリジナル曲とジョビンの曲を演奏。でもこの裏切りはいい裏切りだと1曲目を聞いてすぐ思い直した。結局、本編のアニメソングはテーマの「モチーフ」を用いたにすぎなかったのだと気づかされたから。ポップスやクラシック曲などを無理にジャズにするような、よくある単調で取って付けたような音楽ではなく、テーマ自体がミラバッシ氏の中にすっかり消化されていた。アニメが大好きなミラバッシ氏がジャズスタンダードを奏でるように、日本のアニメソングを調理し、演奏したのだと。そして、このアンコール曲によってコンサート全体にまとったミラバッシ氏の音楽空間ー演奏のテクニックや素晴らしいアレンジの内から香り出る小粋なパリの雰囲気といったようなもの、、、ーを改めて体感することができた。
コンサートの余韻に浸り、購入したCDを聴きながら、まだ見ぬアニメを見てみたい、そう思ったライブでした。素敵な夜に感謝!
<sioさん>
一度訪れてみたかった、すみだトリフォニーホール。
思いがけず、行けることになりました。
会場に足を踏み入れて驚いたのは、その落ち着いた美しさでした。
席を見渡すと、文字通りの老若男女で、アットホームな雰囲気もありました。
心地よい緊張感の中で3人が登場。
ジョバンニが挨拶に、ホールとの縁などを話して演奏が始まりました。
曲目は新しいCDから前半に5曲、そして震災の時に寄せられた「さくらさくら」。
どれも別の会場で聴いた演奏とは雰囲気が違い、ひと言でいえばずっと「緊張感」でした。
馴染みのアニメの曲たちが、トリオの本気をけしかけられたみたいに迫ってきて、自分がだんだん熱くなっていくのが分かりました。
そのとき、後ろの席の小学生の男の子が「あつい〜」とひと言。
みんな熱くなってるんだーとわかりました。
「さくらさくら」は、心に寄り添うように、ネット上の映像からさらに深く胸に沁みるものでした。
後半は同じくCDから5曲。
知っているはずの曲が、CDからさらに世界が膨らんで加速しました。
後半でようやくベースのローラン、ドラムスのルクミルの、開放されたような熱いソロを見ることができて、ふーっと満足。
終わった時にはこちらもかなり疲れていて、高揚した後の脱力感です。
3人の仲の良さも伝わってきて、ジョバンニの新しい世界と、トリオの楽しさを存分に味わいました。
アンコールは2度、3曲。
中でも印象的だったのが、2曲めの「黒と白のポートレート」です。
ボサノバとは思えない荘厳さで、だんだんミサ曲みたいな気がしてきました。
はっと見ると後ろのパイプオルガンが浮かび上がり、一瞬教会にいるかと錯覚したくらいでした。
帰って知ったことですが、ホールのある錦糸町は、震災や戦火の歴史があり、数日前にも、続いている平和祈念コンサートが行われたばかりでした。
また、先日亡くなられたばかりの師のチッコリーニ氏が演奏されたホールでもあり、アンコールの3曲はどこか厳かで、鎮魂や癒しを感じたのも、あながち気のせいではないかもしれないとも思いました。
ホールを出たときにふと、チッコリーニ氏のようにジョバンニも長生きしてほしいと、唐突ですが思いました。
ジョバンニと、彼の音楽と、一緒に歳を経て、ずっと来日して演奏してもらえたら、と思った帰り道でした。
<徳田修作さん>
ジャズ音楽なのにアニメの情景が浮かびよかった。
大震災の時に成田空港にいた話から、日本の曲さくらさくらを披露してくれて、親近感が湧いた。
ピアノコンサートが好きで年に何回も聴いているが、こんなにソフトタッチに奏でる珠玉の演奏を聴いたことがない。
ビロードのようなミラバッシさんのピアノと洗練されたリズム隊の息のあったプレイは芸術的で素晴らしかった。
ピアノの職人といった感じでした。世界トップレベルのジャズを肌で感じられた。
ありがとうございました。