「Twisted Blues Volume 1」と「Volume 2」。
「Volume 1」をアナログ盤で作るのであれば、アナログにA面とB面があるように、次に「Volume 2」も出すだろうと思っていた。
俺としてはジャズのレコードだと捉えているけど、ブルースのフォーマットを使っている。俺が思うクールなブルースの要素を自分のスタイルとしてプレイできるという確信もあったんだ。
「You Dig」はオープニング・トラック。この曲ではグレッグ・リースが特別ゲストとして参加していて、グレッグのスライド・ギターと僕のギターが入っている。グレッグとは一緒にプレイしたかったんだよ。
頭の中でこんなギター・リフがしばらく流れていてね。たぶん誰かが弾いたリフを盗んじゃったんだと思うけど……。
このリフの上にファンキーなグルーヴを乗せてみた。ベースにはウィル・リー、ドラムにキース・カーロック、キーボードにジョン・メデスキ。これ以上の組み合わせはないね。
「Rumba Tumba」は俺なりのルンバ・チューン。デイヴ・ウェックルがドラムを、ウィル・リーがベースを、ジェリーZがオルガンをプレイしている。彼らとプレイした後、何かが足りないと思ったんだ。そこで思い付いたのがピアノ。ラッキーなことにチック・コリアが弾いてくれることになって、特別ゲストとして参加してくれた。
チックがフェンダー・ローズで弾いたプレイは、曲に凄いヴァイブをもたらしてくれたよ。彼に参加してもらって本当に良かった。
「Just Groove Me」ではデイヴ・ウェックルのドラムがフィーチャーされている。彼のプレイはいつも通り驚異的だ。これはロック・チューンだね。
「Get Down」はたぶん今回のレコードで作曲時期が一番古い曲だ。これはこれまで作った中でベストな曲だと思っていて、録音するなら良いものにしたかった。その点で今回のメンバーは完璧だったね。ウィル・リーがベース、キース・カーロックがドラム、ジョン・メデスキがオルガンをプレイしている。
「Come Let Me Make Your Love Come Down」には誕生秘話がある。この曲のメイン・リフはスティーヴィー・ワンダーのリフで、そのリフにインスパイアされて作った曲なのさ。ある意味で、スティーヴィー・ワンダーと俺のコラボレーションと呼べる曲だね。彼が嫌じゃなければ……っていうか、彼が気に入ってくれると嬉しいな。
この曲にはグレゴア・マレエが特別ゲストとして参加し、ハーモニカを披露してくれている。彼は現在のジャズ・ハーモニカ界で最高のプレイヤーだと俺は思っていて、彼にプレイして欲しかった。快く参加してくれた彼は本当に優しい人だよ。
「Slow Grease」は、クリス・レイトンのグルーヴにインスパイアされて作ったスローなブルース曲。サウンドチェックのときにクリスがプレイしてくれたグルーヴがスローなテキサス・シャッフルっぽいものだった。「これで曲を作らなきゃ」と思ったのさ。デモよりもジャズのスウィングっぽい曲に仕上がったけど、聞いてみたらこの曲に非常に合っていることに気付いたよ。プレイしているのは、クリス・レイトン、ロスコー・ベック、リース・ワイマン。その後で特別ゲストとしてアレン・
トゥーサンが参加してくれた。彼のピアノがかもし出すヴァイブは彼にしか出せないものだよ。アレンは最高だね。
「EJ's Blues」は友達のエリック・ジョンソンのために作った曲なんだ。もちろん彼からかなりインスパイアされている。エリックが特別ゲストとしてこの曲に参加しているし、ドラムはアントン・フィグ、ベースがロスコー・ベック、ジョン・メデスキとリース・ワイマンがオルガンを担当しているよ。エリックはセカンド・ギターとしてプレイしてくれている。
「Come Dance With Me」は面白い曲だよ。仲良しのジュリオ・カルマッシから連絡があって、彼の曲を弾いて欲しいと言われたのさ。そこで一緒にプレイしたんだけど、その曲の中に本当に美しいパートがあって、ジュリオに「このパートを使ってもいいかい?」と確認をとった。そのパートはこんな感じだったと思う。
このパートがとても叙情的に思えて使いたかったのさ。既に作り始めていたコードがあって、それを加えて、この曲を書き上げたんだよ。だから、この曲の作曲者は僕とジュリオってことになるね。
「Blue Ball Blues」はクリス・レイトンのグルーヴにインスパイアされて出来上がった曲。「このグルーヴで曲を書かなきゃ」って思ってね。友達のウォーレン・ヘインズが特別ゲストでセカンド・ギターを弾いている。ロックしているだろ?
「Freedom Jazz Dance」はウィル・リー、キース・カーロック、ジョン・メデスキとのジャムから生まれた曲だよ。ほんと、完全にジャム・チューン。アルバート・キングやフレディー・キングなどの時代のファンクをジャズと融合させてみたかった。そこそこ上手く出来ていると思うけどね。