99年結成。デモ・テープの制作、小さなクラブ規模のツアーを国内で行い、母国スウェーデンでのファンベースを徐々に広げる。2002年に“Metalizer”というアルバムをイタリアのレーベルの援助のもと制作するが、結果的にそれがリリースされることはなかった。他のバンドとは少々異なるその苦闘の歴史をひも解いてみよう。
2004年、“Metalizer”アルバムのリリースが結果的にムダになったことに、バンドは大いにフラストレーションを感じていたのだが、最終的にすべてを忘れ新たなスタートを切る事を決意した。新しいデモ“Panzer Battalion”を制作、アルバム・レコーディング当時よりも遥かに進化した楽曲、そしてそれらを作りだすメンバーの技術向上、あっという間にSabaton の名前はヨーロッパに知れ渡ることとなり、最終的に7社の契約オファーを受けることになった。しかし、彼らとの交渉の結果、どのレーベルとも契約を交わさず、自分たちの手によってリリースする事を決める。“Primo Victoria”とタイトルされた新作は、レコーディングはもとより、制作費もすべてバンドが負担した。満足のゆく作品を完成させた彼らは、再びレーベルとの交渉に入り、結果的にスウェーデンのBlack Lodgeがその権利を手に入れた。レコーディングから約1年後にリリースされた“Primo Victoria”はインディー・レーベルからのデビュー作としては破格の成功を収める。
結成当初よりも遥かに大きなクラブでのギグを成功させ、彼らの名前はスウェーデン以外のヨーロッパ諸国でもビッグになっていく。
その後、“Primo Victoria”に続くアルバムの制作に入った彼らは、レコーディング終了と同時期に、Edguy 、Dragonforceとともに6週間のヨーロピアン・ツアーに出陣、大成功を収める。そして、2006年7月に新作“Attero Dominatus”をリリース。彼らの独特な世界観である“戦争を題材にした歌詞”もここで完成されたと言って良いだろう。 "Back in Control" (フォークランド紛争)、 "Attero Dominatus" (第2次大戦を収束に向かわせるきっかけとなったベルリンでの戦い)、 "Angels Calling" (第1次大戦下のいわゆる塹壕戦)などの楽曲でその特異さが存分に発揮されている。ヨーロッパでの人気を決定的なものとしたバンドは初のヨーロピアン・ヘッドライン・ツアーを敢行。最終的に2006年のみで3回のヨーロピアン・ツアーを行った。
07年冒頭には5週間のツアーをTherion 、Grave Diggerとサーキット。そして、“Attero Dominatus”の大成功を受け、2年間の交渉の結果、ようやく幻の作品となっていた“Metalizer”のリリース(2枚組)が決定。あくまでファン向けの商品としてリリースされた作品であったにもかかわらず、スウェーデン国内のロック・アルバム・チャートで1位を獲得した。その後開催されたヨーロッパ・ツアーでは勿論ヘッドライナーを務め、結果的に20カ国をサーキット、80回以上のギグをこなした。
2008年1月にバンドは新作のレコーディングのためスウェーデンにあるAbyss Studiosに入る。プロデュースはスタジオ・オーナーであるTommy TägtgrenとPeter Tägtgren (Pain / Lock Up)が 担当、新たなレヴェルに到達するためのリサーチも開始された。最終的にバンドは紀元前6世紀の中国の思想家にして武将である孫子の作品『兵法』をテーマとすることを決意。
さらにヘヴィ、パワフル、そして斬新なアートワークを兼ね備えたニュー・アルバム“The Art of War” は08年5月に発表された。バンドの念願であったアメリカでのショウもSouth by Southwest で実現、アメリカでの契約も手中に収めた。 09年夏までツアーに明け暮れていたバンドは10月に新作のレコーディングを開始する予定だったのだが、Dragon Force とのツアーのため延期。最終的にスタジオ作品としての最新作“Coat of Arms”は2010年5月に発表された。また同作からのPV、“Uprising”にはスウェーデン出身の有名俳優ピーター・ストーメアが出演していることでも話題となった。
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