イエペスに認められ学んだスペイン音楽をルーツとしながら、武満徹など現代作品をも意欲的に取り上げてきた荘村清志。
パリのエコール・ノルマル音楽院に学び、バッハから現代まで驚異的なレパートリーでギターの新地平を開拓し続けてきた福田進一。
クラシック・ギター界を牽引してきた両巨頭の共演がきっかけで誕生した
Hakujuギター・フェスタは、2015年(8月21日〜23日)で第10回を数えます。ギターに最適な空間と音響をもつHakujuホール(東京代々木)を会場に、毎回新しいテーマでギターの魅力を堪能できると好評の同フェスタ。共同でプロデューサーを務め、毎回のように共演を重ねてきた二人が、この10年の成果をアルバムとしてCDに残そうと意気投合したのは、極々自然な成り行きでした。
荘村清志
実力、人気ともに日本を代表するギター奏者として近年ますます充実した活動を展開している。2013年12月にはCD「アルハンブラの想い出」をリリース、自身のルーツであるスペイン音楽に光を当て名演を聴かせている。2014年デビュー45周年を記念して東京にて大友直人指揮東京都交響楽団と協奏曲3曲を演奏したほか、各地でリサイタルを行い好評を博している。2008年ビルバオ交響楽団の定期演奏会に出演。《アランフェス協奏曲》を録音09年にCDをリリース、また同団との日本ツアーを行い好評を博した。2007年にはNHK教育テレビ「趣味悠々」に講師として登場し、改めて日本ギター界の第一人者として強く印象づけた。
9歳からギターを始める。1963年来日した巨匠ナルシソ・イエペスに認められ、翌年スペインに渡り師事。1967年、68年にはヨーロッパ各地でリサイタルを行い、69年の日本デビュー・リサイタルで、「テクニック、音楽性ともに第一人者」との高い評価を得た。71年には北米各都市で28回にのぼる公演を開き、国際的評価を確実なものにする。74年にはNHK教育テレビ「ギターを弾こう」に講師として出演し、一躍日本全国にその名と実力が知られることになった。以後、リサイタルや、日本の主要オーケストラとの共演ほか、99年マルク・グローウェルス(フルート)、2001年グローウェルスと、インマ・ゴンザレス(カスタネット)との共演、2004年女優の岸田今日子とのコラボレーションによる《ギターと朗読の庭》のツアーを行い、カステルヌオーヴォ=テデスコの「プラテーロとわたし」をメインにした内容が好評を博すなど、ギターの魅力をさまざまな形で伝えている。2008年にはミラノ弦楽合奏団の日本ツアーにソリストとして参加、円熟した演奏を聴かせた。現代のギター作品を意欲的に取り上げるだけでなく、日本人作曲家に多数の作品を委嘱、初演するなど、ギターのレパートリー拡大にも大きく貢献している。特に武満徹には74年に「フォリオス」、93年に「エキノクス」を委嘱、77年荘村のために編曲された「ギターのための12の歌」を初演・録音、96年には「森のなかで」を全曲初演している。2005年にはCD《郷愁のショーロ》をリリース、アコーディオンのシュテファン・フッソングをゲストに、猿谷紀郎の委嘱新曲と新アレンジを含む意欲的なアルバムで、東京や大阪で記念コンサートも開催された。現在、東京音楽大学客員教授。(2014年12月現在)
福田進一
1955年大阪船場に生まれる。12才より故 斎藤達也(1942-2006)に師事。77年に渡仏し、アルベルト・ポンセ、オスカー・ギリアという両名教授に師事した後、1981年パリ国際ギターコンクールでグランプリ優勝、さらに内外で輝かしい賞歴を重ねた。以後30年、ソロ・リサイタル、主要オーケストラとの協演、E.フェルナンデスとのデュオをはじめとする超一流ソリストとの共演など、世界を舞台に意欲的な活動を続けている。キューバの巨匠レオ・ブローウェルから協奏曲「コンチェルト・ダ・レクイエム」を献呈され、2008年コブレンツ国際ギターフェスティバルにてライン州立響と世界初演、引き続き作曲家自身の指揮によりコルドバ管弦楽団(スペイン)と再演。
2011年10月には、ブラジルのサンパウロで開催された第3回国際ブローウェル・フェスティバルでサンパウロ交響楽団と南米初演し大成功を収める。さらに同フェスティバル中には、E.フェルナンデスとの共演により、ブローウェルの新作、2つのギターのための「旅人たちのソナタ」世界初演し圧倒的成功を収めた。2012年5月には、20回を迎えたドイツ・コブレンツ国際ギターフェスティバルのメインゲストとして、バルエコ、ラッセル、ピエッリ、フィスクらと共に「現代のマエストロ」として招かれた。教育活動にも力を注ぎ、その門下から鈴木大介、村治佳織、大萩康司といったギター界の実力派スターたちを輩出。それに続く話題の名手たち、益田正洋や朴葵姫らにも強い影響を与えている。ディスコグラフィーはすでに80枚を超え、スペイン音楽第2集「セビリア風幻想曲」が、平成15年度第58 回文化庁芸術祭賞優秀賞を受賞。代表作は「福田進一 アランフェス協奏曲」(共演:飯森範親指揮ヴュルテンベルグ・フィルハーモニー管弦楽団/日本コロムビア)、「オダリスクの踊り」、「エチュード・ブリランテ」等。2011年よりバッハ作品集のリリースを開始し、現在までに「シャコンヌ」、「主よ人の望みの喜びよ」、「G線上のアリア」(マイスターミュージック)をリリース。2014年にはナクソスレコードより「武満徹作品集」がワールドワイドでリリースされた。平成19年度、日本の優れた音楽文化を世界に紹介した功績により、外務大臣表彰を受賞。平成23年度 第62回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。上海音楽院、大阪音楽大学客員教授。東京国際及びアレッサンドリア国際ギターコンクール審査員。