三席たっぷり笑える林家たい平!
ほのぼのとした味わいの「ぞろぞろ」、早口の上方弁にトンチンカン爆発の「金明竹」、真夏にみかんを探す悲喜劇にたい平独自のオチが光る「千両みかん」だ!!
ぞろぞろ
神社前で荒物屋を営む老夫婦。近頃お参りをしていなかったことを反省し、おじいさんが丁寧にお参りをした。するとにわかの土砂降り雨、その直後に売れ残りの草鞋が売れたのだ。天井につるしてあった最後の一足だったはずなのに次の客が来るとまた草鞋がつるされていた。この何とも不思議な童話のような味わいの落語をたい平は丁寧に描いてくれる。
金明竹
古物商のお間抜けな丁稚・松公が店番をしていると同業の使いの大阪人がやってきた。仲買人の取り次いだ品物について言伝(ことづて)を頼まれたが、早口の上方弁のためまったく内容がわからない。女将さんも一緒に聞いたがやっぱり覚えられない。そこへ戻った主人に内容を訊かれ、女将さんのおかしな説明が始まる。前座噺とされる噺だが、たい平はこの基本的な噺を爆笑たっぷりに聴かせる。
千両みかん
江戸の真夏の盛り、大店の若旦那が病床についた。番頭が理由を尋ねてみるとみかんが食べたいというので「すぐに買ってきます」と返した番頭、今が真夏だということを忘れていたのだ。どの八百屋にもみかんなどはない。大旦那からは倅が死んだらお前は主殺しで磔(はりつけ)だと脅され、江戸中を探し回ることになる。さて番頭の運命は…? そして落語ファンにはおなじみのあのサゲに至るのだが、たい平は新たなサゲを工夫し深みを加えた。