(「音楽と人」2016年8月号 連載から続き) 今月のゲストはクハラカズユキ! 元トライアド、ということで懐かしい話が満載! 音楽と人のコラムから続けてお読みください。 ――キュウちゃんは、コレクターズのことは、コロムビア入る前から知ってたの? クハラ 「いや、聴いてなかったです。中野サンプラザで初めて観て、これがプロなんだな、って思いましたよ。今までライヴハウスでしかバンド観たことなかったから」 加藤 「で、どうだったの?」 古市 「わかるわけないじゃん。だってキュウの原点はミチロウだよ」 クハラ 「だって俺、洋楽聴いたのも、下手したら20歳後半ぐらいですからね。遅いんですよ」 古市 「トライアドナイトとかで一緒になったり」 加藤 「あと静岡のほうの野外フェス出たよね、一緒に」 古市 「ああ、豊田かどっかの。2曲だけやったやつ」 クハラ 「ああ~! あれだ、わかった!」 加藤 「酔っ払ったチバが俺のところ来て『加藤さーん、世界を止めてる場合じゃないっすよお!』って言って帰ってった時だよ(笑)」 ――わはははははは! 古市 「そうだ、チバがすげえ酔っぱらってて、何かに突っ込んで、ケガしたんだよな」 クハラ 「そう。本番後に、別収録したコメントを録ってテレビで流すんだけど、収録の時のチバは、額から血が滲んだ包帯巻いた状態で『こんにちは、ミッシェル・ガン・エレファントです』って(笑)」 ――さっきまでステージでは普通だった人が(笑)。 加藤 「でも、つるんだのはデビュー当時だよ。だってミッシェルはさ……」 古市 「売れちゃうからね」 加藤 「売れちゃうんだよ」 古市 「で、後はこっちを観てくれなかった(笑)」 ――この方々、売れたバンドには厳しいですからね。 クハラ 「違う! そんなことないから!(笑)」 加藤 「はははははは!」 ――ともかく、キュウちゃんとコータローさんの仲が深まっていった、と。 古市 「俺、ドラム飲み会の第1回出てるからね」 ――……ちょっと待って下さい。ギタリストですよね? クハラ 「僕と同い年の●●●が呑んでて、たまたま、携帯に入ってるドラマー仲間を集めて呑もう、ってなったのが始まりだったんですよ」 古市 「その当日、俺はキュウと一緒に原宿でライヴ観てたんだよ。そしたら、この後ドラム飲み会なんです、って言うから『俺も行くわ』って」 ――わはははははは! 古市 「俺もドラマーになりたかったから(笑)」 クハラ 「一緒に来て、知らないドラマーたちと話してるんですよ(笑)」 古市 「下北の都夏の2階でね」 加藤 「この人ね、そういうところに来るんだよ。昔フジパシフィック音楽出版で作家の忘年会があったの。作詞作曲家ばっかいるんだよ。俺、入りたての作家だったから、いつもぺーぺーで『誰だ、あの若造?』みたいになってたわけよ、大御所の作家の方々に『いや、お世話になります、加藤でございます』って腰を低くしてて。ある日コータローくんに『もうね、作家の忘年会が辛いんだよ』って言ったら、『じゃ、俺も行くよ』って本当について来ちゃって(笑)」 古市 「妙だったね、あれは(笑)」 加藤 「会ったこともない作家のオッさんに『いや、あれは素晴らしい作詞でしたねぇ』っておべっか言ったら『僕、作曲家なんだけど』って」 一同 「わははははははは!」 加藤 「次の年から二度と来なかったね(笑)」 ――じゃあキュウちゃんが一緒に音出したりするのは随分後? 古市 「最初は97年の〈トライアドナイト〉じゃないかな。〈The Kids Are Alright〉やんなかったっけ?」 クハラ 「やったけど、叩いてないんですよ。加藤さんが当時着てた自転車用の服とヘルメット借りて出てきて、変な振り踊って(笑)」 加藤 「賑やかしだな(笑)」 古市 「アベフトシがギターをガーッと弾いてるんだけど、シールド繋がってないしね(笑)」 クハラ 「だから〈緊急ナイト〉で一緒にやったのが初めてじゃないかな。第2回のゲストに加藤さんが来てくれたんですよ。今日のイベントが、それに続いて2回目じゃないですかね」 古市 「一緒に演ったら、さすが、違うなと思ったね。何万人を相手にしてるとこうなんだなって」 加藤 「やっぱりね、デカいところを経験してるヤツって違うんだよね」 古市 「経験値が3千人までの俺たちと、何万人を相手にしたミッシェルだと、説得力が違うんだよね」 クハラ 「いや……恐縮ッス」 ――(笑)さて、コレクターズは日本武道館でライヴを発表しまして。 クハラ 「Tシャツもちゃんと着てきました(笑)」 加藤 「ミッシェルって武道館やってないんだっけ?」 クハラ 「やってないです。バースディでは3回やったんですけど」 加藤 「やりやすい?」 クハラ 「やりやすいかもしれませんね。ただ最初、冬だったんで寒かったんですよ。3月ですよね? けっこう堪えますよ(笑)」 加藤 「俺たちもイベントで出させてもらった時が年末でさ、ステージは暑いけど、楽屋が寒いって印象だけはある。あとステージ袖ね」 古市 「俺、こたつ出したほうがいいと思うんだよね」 ――あははは! 古市 「いやマジで! こないだ武道館出たんだけど、普通のエアコンじゃ指が凍えるんだよ、やっぱこたつ出して、ずっとそこに手を入れとかないとダメだと思う。楽屋にこたつエリアを設けよう」 加藤 「畳の部屋を武道館に作るか(笑)」 クハラ 「しかも禁煙なんですよ、館内」 古市 「それはアーティストによるんだよ。こないだ和義くん(註:斉藤和義)は、普通の楽屋でプカプカ吸ってたよ」 加藤 「ほんと? じゃあ申請出して許可もらわないと」 クハラ 「あと楽屋からステージまで、けっこう遠いです」 加藤 「あれ、手前でいいよね。ステージからいちばん近い部屋をメンバー楽屋にしよう」 ――初めてやるバンドなのに、喫煙にしろとか、楽屋はここだとか、畳の部屋作れとか、注文が多いですね(笑)。 加藤 「楽しよう楽しようってそればっかり(笑)」 クハラ 「でも、楽しみですね。ここまで続くって、凄いことですよ」 加藤 「これまで後輩に追い越されてるばかりだったからね、ここらでちょっと見せつけて、 これ終わったらな、ドームやるから」 クハラ 「いいっすね、その目標!」 加藤 「で、お前らに差つけるからな(笑)。ドーム2デイズとかやっちゃって」 クハラ 「観に行きますよ、もちろん。まずは昨日の大阪城野音でのライヴ、観たかったですけどね。フラカンにコレクターズ、ピーズに真心って、楽屋がどんなことになっていたのか気になって(笑)」 加藤 「ねえ? 昨日の楽屋のシンイチロウ(註:the pillows、theピーズ)を見せたかったよ」 ――何ですか。 加藤 「酷い!(笑)。酔っぱらって絡んで酔っぱらって……」 古市 「あれは酷かったねー(笑)」 加藤 「俺の顔見るなりさ……(註:以下自主規制)」 クハラ 「めちゃくちゃというか、あの人無敵ですよね。もうシンちゃんはこの対談出たんですか」 古市 「出てない」 クハラ 「それくらい仕上がったシンちゃんをぶっ込めばいいんじゃないですか」 ――収拾がつかないから嫌だ(笑)。 加藤 「全部伏せ字になる(笑)。この前ヒロト(註:甲本ヒロト/ザ・クロマニヨンズ)に〈愛ある世界〉のヴォーカルをやってもらった時にね、昔話になって。『そういえば加藤くんにブルーハーツのベース頼んだことあったよね』って話になって。『その前はシンイチロウにドラム頼んだしな』って。何? 下手したらブルーハーツは、シンイチロウがドラムで俺がベースだったのか!」 一同 「わははははははは!」 古市 「歴史が変わっていたかもしれない(笑)」 ――その「愛ある世界」の再録にはキュウちゃんも参加しています。 クハラ 「こういうキーでシーケンス聴くなんて初体験でしたよ」 加藤 「あ、そうなの? クリックは聴くでしょ?」 クハラ 「レコーディングでは。ライヴではないですね。レコーディング、録っててイヤホン外れて、最後ズタズタでしたよ(笑)」 古市 「レコーディングで見たモヒカンのヘッドフォン、良かったよな(笑)」 加藤 「ネズミの耳になっちゃうから(笑)」 ――今回「愛ある世界」を録り直すことにしたのはなぜですか。 加藤 「30周年のアニバーサリーで、いろんな人にヴォーカルお願いすることにしたんだけど、昔録ったトラック使うのもどうかと思ってさ。最初はコレクターズで録り直そうとしてたんだけど、それより演奏も他のアーティストでやってもらおう、って」 ――キュウちゃんにお願いしたのは理由があったんですか。 加藤 「コータローくんが、クハラは上手い、って言うから」 古市 「まあ、クハラとウエノは決まってたよね」 加藤 「あと今回は、俺がプロデュースしてる時間もないから、高野くん(註:高野勲)にお願いして、彼に丸投げしたのよ。他のプレイヤーも彼に選んでもらったの。そのほうが自分も楽しめるでしょ。いろんな個性あるヤツとやってくれたから、面白い企画になったよ」 ――そうですね。では最後に、キュウちゃんについて一言。 加藤 「ドラムが上手いんだけど、楽屋じゃ全然そこが見えない。それが凄いよね。昔はドラムが上手いって人は、みんなポンタさん(註:村上ポンタ秀一)みたいな体型だったのに(笑)」 ――はははは。ちょっとどっしりしてる、と(笑)。 加藤 「そう。細身でモヒカンでドラム上手いって、無敵でしょ、これ」 クハラ 「いえいえ、上手くないですよ。もう……もういいじゃないですか」 ――こうやって褒められると控えめになるんですよね(笑)。 クハラ 「いやいや、いいですいいです(照)」 加藤 「何言ってんだよ。お前がバースディ辞めたら、すぐにオファーするから(笑)」 クハラ 「マジすか!」 |
<<< ◆ VOL.12「ゲスト:鈴木圭介、グレートマエカワ」 | ◆ VOL.10「ゲスト:大木温之、TOMOVSKY」>>> |