 世界歴2004年。宇宙人に向けて通信メッセージを送るほどに科学を発達させた地球では、その英知の結晶である高性能ロボット・アトムが日夜活躍を続けていた。ある日、科学省は、多数の部品ロボットが合体して完成する“ロボット宇宙艇”を開発。人工島司令官・ベガ大佐の妨害にあうものの、アトムの活躍で事なきを得た。ところがその宇宙艇で月へ向かったお茶の水博士が、謎の怪物にさらわれてしまう。月基地のナンバー7たちと救出に向かったアトムは、地球を狙う宇宙人がいることを知る。帰還後、アトムはニコロ星の爆弾ロボット・ベムと出会った。太陽をターゲットとする爆破実験から逃走し、追われるベム。彼を守ろうとしたアトムに、怒ったニコロ星人は地球の破壊を宣言。巨大な赤い星が地球に近づき始める……!
 テレビシリーズ『鉄腕アトム』のなかから、第46話「ロボット宇宙艇の巻」、第56話「地球防衛隊の巻」、第71話「地球最後の日の巻」の3本を選び、そこに第1、2、3話の一部のシーンを加えて再構成した劇場映画。オープニングや各話間のブリッジシーン、第46話の冒頭や中盤などは新作画されており、音声もすべて新アフレコである。また、第56話はもともと全編がカラー、第71話はパートカラーとして制作されたものだが、テレビでは白黒放映だったため、当時の子どもたちはスクリーンで初めてその鮮やかな色彩と対面したことになる。1964(昭和34)年7月26日、日活系で封切公開。併映は、7月31日までがユーゴスラビア映画『ぼくらの冒険旅行』、8月1日以降が日活のアクション映画『新・男の紋章 度胸一番』。

●制作:手塚治虫 ●原作・構成:手塚治虫 光文社「少年」連載 ●脚本:山本暎一、林 重行、鈴木良武 ●演出:山本暎一、林 重行、高木 厚 ●原画:山本 繁、
瀬山義文、北野英明、青木 茂、岡迫亘弘、田中英二、赤堀幹治 ●動画:沼本清海、上梨壹也、正延宏三、森 安夫、出崎 統、渡辺Z男、西牧秀雄 ●美術:松本 強、
八村博也、大脇章子、X藤克己 ●仕上(トレス):杉井正子、進藤八重子、大内允子、鶴田淑子、磯野雅子、中西瓔子、沢井裕之、西田 稔、近藤和枝
●仕上(彩色):松本双葉、日高V子、朝戸澄子、黒田亜紀子、久保礼子、島野昌子、石井マヤ、林 広美、光延幸子、藤井和子 ●特殊効果:安斉儀之
●撮影:佐倉紀行、清水達正、広川和行 ●編集:古川雅士 ●編集協力:鈴木 寛 ●音楽:高井達雄(主題歌・朝日ソノラマ) ●音響構成:大野松雄
●制作助手:もり まさき ●録音:アオイスタジオ ●企画進行:石津 嵐 ●作画進行:明田川 進、岸本吉C、若尾博司、諏訪武夫 ●技術進行:田代敦己、箭内 進
●資料:野崎欣宏、飯塚正夫 ●制作協力:別所孝治 (フジT.V) ●現像:東洋現像所

●アトム:清水まり ●お茶の水博士:勝田 久 ●ウラン:水垣洋子 ●ヒゲオヤジ:矢島正明 ●コスミ博士:熊倉一雄 ●ベム:田上和枝 ●ナンバー7:北条ミチル ほか

プロローグ〜オープニング(新作画)
「ロボット宇宙艇の巻」(第46話より)
ロボット製造行程の紹介(第2話より)
記者陣への解説(新作画編集部分)
アトム誕生の回想(第1話より)
人工声帯複製〜ガンガラ島出撃(新作画編集部分)
ブリッジシーン・お茶の水博士誘拐(新作画)
「地球防衛隊の巻」(カラー・第56話より)
ブリッジシーン・モス局長との会話(第3話+新作画)
「地球最後の日の巻」(第71話より)
夜空に光る赤い星(パートカラー 1)
接近する赤い星(パートカラー 2)
接近する赤い星(パートカラー 3)
赤く染まる空〜エピローグ(パートカラー 4)
エンディング |
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映像特典としては、1980年3月20日、大映映画『宇宙怪獣 ガメラ』の併映として公開された短編映画『鉄腕アトム[地球防衛隊]』を収録。本作は『鉄腕アトム[宇宙の勇者]』の一部にも使われている第56話「地球防衛隊の巻」を、テレビ放映時本来の映像と音声のままに映画化したもの。そのため、コスミ博士の秘書ハルコの設定がロボットではなく宇宙人になっているなど、物語に関わる相違点がある。是非、両者を聞き比べて観賞していただきたい。なお、冒頭には『鉄腕アトム[宇宙の勇者]』のオープニングを青い色調に加工した映像が、終わりにはカラーのオリジナルエンディングがついている。また、エンディングの最後では、80年10月1日より日本テレビ系で放映が予定されていた『鉄腕アトム』新シリーズの告知も行われている。封入特典としては、『鉄腕アトム[宇宙の勇者]』の劇場パンフレットをミニサイズで復刻。全16ページのうち、14・15ページに掲載されていた併映作『ぼくらの冒険旅行』の記事のみ割愛。代わりに、劇場公開前にマスコミに配られたプレス・シートの本文部分をその見開きに収録した。
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