【第14回】◆ファンタジー・オン・アイス
【第13回】◆《コン・フォーコ》オール・ショパン・リサイタルによせて
【第12回】◆マチュー・ガニオとの共演を終えて
【第11回】◆ピアノ・リサイタル ~トランスフォーメーション~ヤマハホール
【第10回】◆パリ・オペラ座エトワール、マチュー・ガニオとの共演を前に
【第9回】◆ゴールデンウィーク恒例「N響 ゴールデン・クラシック」
【第8回】◆新譜「モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番変ホ長調《ジュノーム》/シューマン:ピアノ協奏曲イ短調」について語る(後編)
【第7回】◆新譜「モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番変ホ長調《ジュノーム》/シューマン:ピアノ協奏曲イ短調」について語る(前編)
【第6回】◆新譜「モルダウ~水に寄せて歌う」について語る(後編)
【第5回】◆新譜「モルダウ~水に寄せて歌う」について語る(前編)
【第4回】◆南アフリカはじめ、世界の街でのリサイタルが増える(2006-7)
【第3回】◆大切なことを学んだアメリカでのコンサート(2005)
【第2回】◆東京デビューとアメリカでのツアー、怒涛のスケジュール!(2004)
【第1回】◆クリーヴランド国際ピアノコンクール優勝(2003)
今年はそんなツアーの合間に、ヤマハホールでコアなプログラムのリサイタルが入っていたので、レパートリーの準備はもちろん、意識して気持ちを切り替えることも大変でした。
アイスショーでは、楽屋にピアノがなく、練習時間も限られていたので、整氷時間やスケーターの個人練習で曲かけしない時に横で弾かせていただきました。 荒川静香さんがそれを「心地良い至福の時間でした」とツイッターで書いてくださって、とても嬉しかったです。
スケーターたちとの共演から学んだもう一つのことは、先の計画を立てることの大切さです。
アスリートは現役でいられる期間が限られ、その中で業績をあげなくてはいけません。時間との戦いという側面があるので、1日1日がとても大切なんですよね。そんな姿を見ていて、体が思い通りに動くうちに、自分が弾きたい作品を何歳までに取り組み、やりたいプロジェクトのアイデアはどんどん具現化しなくては、と強く感じるようになりました。僕は弾きたい曲が沢山あるので、5・6年先まで考えるようになりました。鬼が笑うどころじゃないですね(笑)。
でも、芸術家として時間をかけて取り組み、演奏解釈を深めるということも大切にしようと思います。この秋に取り上げたショパンや『三大楽聖のキセキ』では、過去に弾いたものも多く含まれていましたが、解釈や弾き方は変わっていたと思います。
これからも、様々な分野から学んだことを活かして、自分なりの演奏活動を続けていきたいと思います。
僕自身、昔に比べてショパンに対する理解も変化しました。以前はやはり繊細で美しい音楽というイメージがあったのですが、フランスに留学して音色に対するこだわりを強く持つようになり、またドイツに移って古典音楽のアナリーゼをより勉強してから、演奏するにあたっての見方、ショパンを好きだと思うポイントも変化したように思います。
「24のプレリュード」には数々の名演があるので、これまで敬遠してきたところがあります。でも今回、短い一つ一つの曲の中にショパンがどんな思いを込めているのか、自分なりのアプローチで追究し、表現することができたらと思います。
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