毎晩、寝る前に本を読むのが習慣になっているわが家。先日6歳になった娘は、ページいっぱいに絵が広がっている絵本ももちろん大好きですが、年中、年長になってからは幼年童話を読むことも多くなりました。「幼年童話」と言っても明確な定義があるわけではないようですが、私の中では、絵をメインにしている絵本から、文章をメインにしている童話への橋渡し的な存在の本という認識をしています。つまり娘も、成長に伴い、絵本よりも少し文章の多いお話にも興味を持つようになってきたということのようです。
『はじめてのキャンプ』や『いやいやえん』、『エルマーのぼうけん』(いずれも福音館書店)など、定番の幼年童話を中心に楽しんでいる娘ですが、1日に1度は必ず読むほど好きなのが「へんてこもりのはなし」シリーズ。『へんてこもりにいこうよ』、『へんてこもりのコドロボー』、『へんてこもりのなまえもん』、『へんてこもりのきまぐれろ』、『へんてこもりのまるぼつぼ』の5冊からなるこのシリーズが大好きなのです。
*「へんてこもりのはなし」シリーズ(作・絵 たかどのほうこ/偕成社)
物語の舞台は、そらいろ幼稚園の裏にある「ヘンテ・コスタのもり」、通称「へんてこもり」。休み時間に「へんてこもり」でしりとり遊びをしていた仲良し4人組でしたが、途中でブンタが行き詰まってしまい、とっさの思いつきで答えた「まるぼ!」を皮切りに、ゆかいでへんてこな動物たちが次々に現れて、おかしな展開になっていく、というお話からシリーズはスタートします。
娘が「へんてこもりのはなし」シリーズを好きになったのは、幼稚園でクラスの先生が読んでくれたことがきっかけでした。お話によっては、歌を間違えると「コドロボー」にさらわれてしまう、「なまえもん」に飲み込まれてしまうなど、こわがり屋の娘が避けがちな展開もあるのですが、お友達と一緒なら「こわいけどおもしろいんだよ!」となるから不思議。ちょっぴりドキドキしながらも、クラスのお友達と一緒に夢中になっているようなのです。自分たちと同じ幼稚園生4人が出てくる物語ということで、自分たちと4人を重ねて、本を読みながら「へんてこもり」に遊びに行っている気分なのかもしれませんね。
娘は本を読んで楽しむだけでなく、作中に出てくるいろんな歌も大好きで、登降園時や公園で遊んでいる時、スキップする時、日常生活のいろんなシーンで歌っています。また、近所の工作室では「へんてこもり」の動物たちを作るのがマイブーム。なかでも、本が大好きな「ホンリエーヌちゃん」は娘の1番のお気に入りで、工作回数最多キャラクターです。娘の大好きなピンク色、同じ髪型のふたつ結びの三つ編みヘアーということで、親近感が湧くのでしょうか。折り紙とスズランテープを使ってお友達と一緒に作って楽しんでいます。
*上が「へんてこもりのはなし」シリーズの主人公「まるぼ」、下が「ホンリエーヌちゃん」です
小さいころに読んだ物語って、大人になっても読んだ時の感情まで色濃く覚えているものですよね。この時期に読むからこそ、共感したり、ドキドキワクワクしたりする物語がたくさんあると思うので、「へんてこもりのはなし」シリーズに限らず、今後もいろんな幼年童話との出会いを楽しんでほしいと思っています。
平岩茉侑佳
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