娘と息子は長い夏休みの真っ只中。今年の夏は本当に暑いので、日中はなかなか公園遊びができず、屋内施設やプール、日陰のあるジャブジャブ池などを活用し、子どもたちの有り余るエネルギーを発散させています。なかでも重宝しているのが、近所の図書館や本屋さん。子どもたちは本選びや読書を楽しみ、母も涼をとることができるので、非常にありがたい存在です。
図書館や書店では、基本的に子どもたちが気になる本を借りたり買ったりしていますが、私が「動物の本」、「クリスマスの本」などとテーマを決めることもあります。最近選んだテーマは「夏休みの本」。娘が小学生になってから初めての夏休みということで設定してみました。
今回は、子どもたちが楽しんでいる「夏休みの本」5冊をご紹介します。
(1)『なつやすみ虫ずかん(かがくのとも絵本)』福音館書店
夏休みに出会える13匹の虫の生態を、美しい細密画と親しみやすい文体で紹介している図鑑。わが子たちがこの夏に出会った虫も何匹もいましたが、ミヤマクワガタのツノは実はツノではなくアゴが大きく形を変えたものであること、エンマコオロギはメスを呼ぶ時とケンカをする時では鳴き声が違うこと、スズメバチはメスだけ針を持っていることなど、娘も思わず「へえ~!」と声をあげた情報がたくさん載っていました。わが家では、1匹読み終えるごとに「エンマコオロギは、メスを呼ぶ時にどんな声で鳴くでしょう?」など、その虫に関する生態クイズを出しながら楽しんでいます。
(2)『なつやすみ』福音館書店
いとことのお泊まりや、プール、みんなで食べるお昼ごはんやおやつのスイカ、お祭り、花火など、夏休みの楽しみがぎゅっとつまった、幸せな夏の絵日記のような1冊。夏休みに入ってからプールに行ったり、キャンプ場でスイカを食べたり、地元のお祭りに行ったりしていたわが子たちも、自分たちと登場人物たちを重ねながら「〇〇たちとスイカ食べたね」「ぼくも〇〇くんとプール行ったよね!」と、嬉しそうに読み進めています。作中には、昔懐かしい扇風機や蚊取り線香、お中元なども描かれているので、令和の子どもたちも昭和生まれの私も、みんなが共感できる“夏休み”でした。真俯瞰で描いたり、子どもの視点から少し見上げたり、ユニークな視点で切り取られた構図も印象的です。
(3)『なつのいちにち』偕成社
こんなに臨場感のある絵本、なかなか出会えないと思います。容赦ない夏の日差し、草や土、夕立の匂い、セミの大合唱……。そのすべてが、画面から溢れ出てくる絵本です。私は生まれも育ちも東京なので、小さいころに祖父母の家に行った際に感じた夏が、この1冊に閉じ込められていました。何かに夢中になって挑んだ夏、息を切らせながら汗だくになって遊んだ夏。子どもたちと読みながら、こんな経験をわが子たちにもさせてあげたいと思ってしまいます。
(4)『はじめてのキャンプ』福音館書店
以前からわが家で読んでいた本ですが、娘のお友達が塾のサマーキャンプに初めて参加するというので、おすすめしてみました。作中のなほちゃんは、未就学児くらいの小さな女の子。大きいお兄ちゃん、お姉ちゃんたちと一緒にキャンプに行きたいと言いますが、小さい子は重い荷物を持って歩けないし、薪を集められないし、すぐ泣くからだめだと言われてしまいます。しかし、できると宣言してキャンプに参加するなほちゃん。時にはめげそうになりながらも、大きい子たちに負けじと頑張り、成長していく姿に、同世代のわが子たちも感じるものがあるようです。
(5)『あさがお』金の星社
1学期の終わりに、娘の学校へ朝顔を取りに行きました。夏休みの間、朝顔の水やりや観察日記、タネを取ってから干して紙袋に保管するなど、学校から課せられたミッションがあるので、毎日娘はせっせとお世話をしています。せっかくなら、朝顔のことをもっとよく知れるとよいなと思い、選んだのが本書。朝顔の一生を描いた絵本です。本のなかでは、土の中でタネから芽がのびる様子や、花が開くところ、タネの中がどうなっているのかがリアルに描写されており、学校や自宅で観察するだけではわからなかった学びがたくさん。娘も「タネのなかってこんなふうにぐにゃぐにゃしてるんだね~」と、興味深く読んでいます。
選んだのは未就学児~小学1年生向けの本ですが、夏休みのいまだからこそ、共感したり、学んだりできることがあると思うので、この夏はお子さんの年代に合わせたテーマを設けて読書を楽しんでみてはいかがでしょうか。
平岩茉侑佳
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