夜になってもなかなか寝ない子、買い物先で「あれ買って~!」と泣き叫んでいる子(最近あまり見ないけど)、お友だちとのトラブル、etc……。
子育て中のお母さんにとって、小さい子どもの「しつけ」には手を焼いているのではないでしょうか。
特にいわゆる「育てにくい子」や、男の子だと「言っても聞かない」ということが多々あるようです。わが家の長女も 「育てにくい子」にあてはまりました。理由なく(あるのかもしれないけれど、まったく不明)泣き叫び、どんなにあやしても泣き止むことがないこともありました。3歳ごろまでは本当に大変でした。また、男の子は、だいたい聞いているようで聞いていない。甥っ子を見ていると、馬耳東風とはまさにこういうことを言うのだな、とつくづく思います(※例外もある)。
一番大変だった1歳半の頃。心なしか顔つきもムスッとしている…。当時を知るママ友だちには「レジェンド」と言われるぐらいの手のかかりようでした。
さて、ニュースで虐待された子どもの話が出ると、その親はほとんど「しつけのためにやった」と発言しています。
ここで「しつけ」とはなんぞや、と行き詰まりました。広辞苑によると「仕付け(躾とも書く)とは、礼儀作法を身につけること」とあります。
「ほう、意外だな」と思いました。私が思う「しつけ」というのは、礼儀作法よりもう少し前段階かと思っていましたが、確かに公共の場で騒がないとか、お友だちを叩かないとか、そういうのは礼儀作法ともいえます。
ただし、最近知ったことですが(今頃と言わないで…)子どもの脳がなんとなく出来上がるのは3歳頃で、この頃にようやく昨日のことが記憶に残って、親から言われることの理解ができるようになるそうなのです(!)。
そんなわけで、1歳の子どもに電車で「静かにしなさい」と言っても無理がありますし、子どもが食事中にスプーンを投げたり、食べ物を落としたりしても、そのことが何でいけないのかの理解ができないということ。それを早くに知っていれば、もうちょっと大らかに子育てができた気がします。前述の「しつけのためにやった」という親も、「3歳までは何言っても無理かも~」と思えていたら、結果は違ったものなったかもしれません。
よく「三つ子の魂百まで」と言いますが、その意味を何となくこのことでつかんだ気がします。
脳ができあがる3歳までに「安心・安全」に暮らすことのできた子と、「恐怖」や「不安」の要素が多い子とでは、後の人格形成に影響がありそうです(いや、きっとある)。3歳までは大事に育てて、3歳頃から徐々にマナーや社会性を身につけていくのが理想の流れなのでしょう。
ただ、現実はうまくいかないですよね。子育ての本も、本によっていろいろなことが書いてあって「3歳までに脳は決まる!早期教育が鍵だ!」とか、「ほめて伸ばす」だとか、「ほめない子育て」だとか、いったい何が良くて、何が悪いのか、という情報の洪水です。それなのに、当のお母さんは子育てに追われてそんな本など読んでいる時間がないもの。結局のところ、こんなに子育ての情報が次々と更新される理由は「子育てに正解がない」ことの表れとも言えます。
そこで提案ですが、義務教育で1度「子育て」という授業なり、実習なりを取り入れるのはどうでしょう。ぼんやりと子どもをどう育てるのか、どう育っていくものなのかを知るのが子どもを持ってからでは遅い気がします。それを知っていれば、社会ももうちょっと子どもに寛容になって、赤ちゃんの泣き声に目くじらを立てなくても済むかもしれないし、親も3歳までの子どもにしつけを強要しなくても済むのかもしれません。
子育てを、もっと大らかにできたらいいですね(自戒を込めて)。
本田 香
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