ここ最近「PTA不要論」など、PTAを巡る問題が表面化しています。
菊池桃子さんの「任意のはずなのに強制されるのはどうか」といった発言に共感する人たちが多いというニュースもありました。
果たしてPTAとはいかなるものなのでしょうか。
PTA=Parent-Teacher Associationの略で、保護者と先生が協力し合う組織ということです。
目的は、保護者と先生たちがお互いに協力して地域社会の中で、子どもたちの健全で健やかな成長を図る(娘の小学校のPTAの手引きより)etc……ことだそうです。
子どもが小学校に入る前は、「遠い昔に母が関わってたな、たまに先生たちと飲みに行ってたな」(※これ今もあるのでしょうか)ぐらいの認識でしたが、子どもが小学生になると途端に身近になります。
このPTAなるものは、小学校によってやり方や内容がどうやら違うようです。なんだか大きくPTAと言ってしまっていますが、問題になってくるのが中枢を担う本部役員と付随する委員会や係といったものでしょう。
だいたい1児童、または1家庭につき1度は必ずやらねばならないものとなっています。ちなみにわが家の娘の学校は児童が少ないため、1度と言わず2度も3度もやることもあります。
私はこの「委員会」の委員長というものをくじで引き当てたため、1年間なかなか大変でした。フリーランスと言え、フルタイムで働いているので正直頭がおかしくなりそうな時もありました。
まとめる立場になると、委員会の皆さんの名前を覚えないといけない、どの方がどの役割をするかを決めて管理しなければならない、各種伝達事項、本部役員さんとの連携、ああ次は何やればいいの……。気分は就職したてのフレッシュマンです。やること、覚えることが膨大です。幼稚園の時にも役員をやっていましたが、比較になりません。そう、これはボランティアの範疇を超えて完全に「仕事」であります。委員長になったばかりの時は「何が分からないのか分からない状態」で、仕事(もう仕事と呼びます)を把握するのに徹夜したほどです。
普段の仕事、家事、育児(習い事の送迎、プリント類の把握など含む)、家計管理などがある中に、ヘビーな仕事が1個加わるとどうなるか。「子育てが雑になってくる」んです。私の場合ではありますが、子どもを邪険に扱ってしまうシーンが出てきました。正直「子どもの健全な教育」には大変よろしくありません。共働き世帯が増えてきた昨今に、主たる活動をしているのが「母親」というのもけしからんです(男性の参加はまだ少ない)。
だいたい、社会は母親に多様な役割を持たせすぎではないでしょうか。
例えば専業主婦だったとします。「時間あるでしょ」なんて思われそうですが、これがそうでもない。専業であるが故に「暇」と勘違いされてしまい、あれもこれも押し付けられてしまいがちです。例えば、子どもが多いと前述の幼稚園の役員や係、はたまたお姉ちゃんお兄ちゃんの受験と重なる可能性も出てきます。最近では介護問題も加わってきます。町内会、自治会、子ども会など、この辺りでも「専業」というだけで役を任されている気がします。そして「専業」ということでPTA本部役員に推薦されて、断りきれない良い人が何年も本部役員をやらざるを得ない状況になっていることも……。ちなみに本部の役員さんは委員会の委員長なんかよりずっと大変で(なにせ委員長の管理をしないといけない)、週2~3日、弁当とおやつ持参で学校に詰めているのです! そして当然のごとく無給でございます。それでいて仕事ができるものですから、もうこれは社会の損失とも言えます。有能な女性がタダ働きしているのです。逆の見方をすれば、こういった能力のある女性がPTAを支えてきて、今日の日本があると言ってもよいでしょう。なぜなら子どもは日本の未来だからです。
そしてここまで来て、まったく流れと逆のことを言います。
個人的には「PTAは大事である」と思っています。
1年間の委員長生活は大変でしたが、「ああ、これは必要だな、保護者の出番だな」と思うシーンが多々ありました。子どもたちの学校生活を何から何まで先生にお任せするのも悲しいではありませんか。そこは保護者も協力をしたい。登下校の安全まで先生にお願いすることは難しいでしょう。実感したのは「やり方次第」であるということです。
たいてい委員会や係は1年で任期終了してしまいます。任期が1年ということで、不要な仕事の選別、改善がうまく行かず、例年にならうことの繰り返しになってしまいがちです。そしてずるずると同じことを繰り返すだけにならないよう、どこかで誰かが変えて行かなきゃいけないと思うのです。
それにフルタイムのお父さん・お母さんが全然学校のことが分からない、PTAのこと知らないまま卒業してしまうのも勿体ない気がしませんか。
共働きが増えてきたからこそ、社会も保護者がもっと学校と関われるような仕組みになれば……。例えばPTAの仕事をしなければならない1年は、週1で半休を取れる仕組みなどはどうでしょうか。あとは単純にPTA活動のスリム化は必要だと感じます。最近はPTAを現代社会に合わせて変革し、新しい活動をしている学校もあるようです。こういった前例が増えて、ノウハウが確立していけば、もっといいPTAが作れるのではないかと思います。時代と共により良く変化させながら、うまく社会の中で学校と保護者の連携をしていく。それが子どもたちの健やかな成長に繋がるのではないでしょうか。
本田 香
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