小学生にもなると、旅がリフレッシュ目的だけではなく「社会」を学ぶ場に変化をしてきました。長女の学校では夏休み中に「都道府県」を覚える宿題が出て、リゾート地ではない選択肢が目の前に現れたのです。「百聞は一見に如かず」というわけで、今年の夏休みは、新幹線に乗って「京都・奈良」へ行ってきました。
大人は自然や情緒を楽しめる古都ですが、子どもはなかなか難しいところ。小学1年生の次女も一緒なので、どこを巡るかには頭を悩ませました。「るるぶ」を購入し、子どもにも意見を聞きながら決めたのが以下の場所。矢印は実際の顛末です。
1日目
宇治の平等院 → ○
車中にて古墳を観察 → × 古墳は電車からは見えず
東大寺 → ○
正倉院 → × 子どもが鹿に夢中で行けず
奈良公園 → ○
時間があれば興福寺 → × 子どもが鹿に夢中で行けず
京都へ戻って祇園祭の宵山 → × 疲れて行けず
2日目
本能寺 → × 六波羅蜜寺に変更
祇園祭・山鉾巡行・花傘巡行を見物 → ○
二条城 → ○
南禅寺 → ○
清水寺 → ○ ※清水の舞台が修理中でガッカリ
結果、このようになりました。なかなか子連れだと計画通りにはいかないものです。余裕を持たせたスケジュールのはずでしたが、難しいものですね。ところで、なぜ以上の場所を選んだのでしょうか。
・平等院…「10円玉の絵柄がここだよ!」と話せるため、子どもでも分かりやすい
・東大寺…実は鹿が目当て。古都巡りは子どもにとって、あまり面白くないと思い、動物と遊べるポイントを考えた。そのうちなぜあんな大きな仏像を作ったかを考えられるようになるために、大きさだけをチェック。
・本能寺…本能寺の変について伝えたかった。
・六波羅蜜寺…子どもでも面白い「空也上人立像」があるため。
・祇園祭…たまたま行く日に後祭があったので、3人分の観覧席を事前購入しておいた。
・二条城…今年で大政奉還150周年にあたるため。
・南禅寺…子どもが最近「絶景かな絶景かな」と言い始めたこと、水路閣を見るため。
・清水寺…世界遺産+子どもでも楽しめそうだから。
だいたいこのような理由からでした。ただ、2日で京都・奈良を巡るにはまったく時間が足りません。何度行っても行ききれないのが古都の良さでもあるので、そこは気にしない。1年生の次女がいまはまっているキノコが寺社仏閣に多く生息していたことも収穫のひとつです。
しかしやはりまだまだ疲れやすい子どもたち。路線バスや電車はチェックしていましたが、バスの待ち時間や地下鉄の上り下りが大変。そこで子連れ旅で一番お世話になったのがタクシーです。特に清水寺では三年坂上まで連れて行ってくれて助かりました。出費にはなりますが、子連れだと乗り物やイベントは指定席を取る、タクシーを使うなど、子どもがぐずらないような工夫も必要ですね。そしてこの時期は熱中症予防にのために水分をこまめに摂り、適度な休憩を挟むことにも気を配りました。
子どもはたいてい道草を食う。
そしてやっぱり子連れは思う通りにならないと腹をくくって、親は「焦らず、怒らず、待つ」。これ大事です。まず計画通りにはならないと思っておくことで、旅がだいぶ楽になります。今回は学習も兼ねていたので、たくさん見せたいし説明したい気持ちがありましたが、あまりうるさくしないよう気をつけました。気をつけないとうるさくなるので……。
ちなみに、今回の旅で一番子どもたちが印象に残ったのがまさかの「六波羅蜜寺」でした。小さなお寺でしたが、お寺の方に丁寧に説明してもらったのが良かったようです。運慶が作った「夢見地蔵」に子どもたちは惹かれて、9月に東京で開催される運慶の特別展に行くことが決定。「運慶が夢で見たという仏様を実際に運慶が作ったんだよ~」とおじさんに説明され、そのエピソードにやられたようです。他にも「薬師如来像は医学と薬学の神様で、左手に持っている壺に薬が入っているんだよ」という説明も心に残りました。
旅のエピソード、長くなりそうなので次回に続く……。
本田 香
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