私が子どもだった30年前は、下の乳歯が抜けると、その歯をぽーんと屋根へ投げました。上の乳歯が抜けると軒下へ投げ込んだものです。「立派な歯が生えてきますように」という、おまじないですね。今は一軒家も軒下をふさいでいますし、マンションなら投げる屋根もありません。
それで我が家はどうしているかと言うと、子どもの歯が抜けると「乳歯ケース」に保管をすることにしています。木製でできた、このようなタイプが一般的のようです。私はネットで購入しました。
左が長女、右が次女の「乳歯ケース」です。抜けた日付の記入もできます。これ、実はとっても便利です。「なかなか永久歯が生えてこないな」と思った時に、「いつ抜けたか」を調べることができるからです。次女の永久歯がなかなか生えてこなかったので「もう1年ぐらい経った気がする」と夫に話していましたが、確認すると4ヶ月しか経っていなかったこともあります。心配していると、時間が長く感じられるものですよね。そんな不安の解消にも役立ちます。
また、私の父は「今後再生医療が進めば自分の歯で治療ができるようになる」と信じていて「歯はきちんと保管しておくように」と話します。もし歯の再生医療が可能になれば、「乳歯ケース」の持つ役割はより大きくなります。科学者でもなんでもない父ですが、入れ歯になってから食事を楽しむことができないようで、歯の大切さをしみじみ感じているようです。そんな父の遺伝か、私も幼い頃から歯医者さん通い。すぐに虫歯ができてしまいます。私の母は、まったく虫歯がありません。そして義兄は歯を磨かなくても虫歯ができないらしく、本当にうらやましいです。母は自分に虫歯がないからと、「りんごを食べれば歯を磨かなくてよい」という、訳のわからない理由で、歯を磨いてくれませんでした。つまりりんごを食べて寝かされていた……。そりゃ虫歯にもなりますよね。虫歯の原因は、保護者が作ることがほとんどです。
私のような口内環境にならないよう、子どもたちには気を配っています。たとえば「予防歯科」です。かかりつけの小児歯科で3ヶ月ごとにチェックとクリーニングをしてもらいます。私もついつい仕上げ磨きを怠るので、歯医者さんへ行くたびに襟を正しています。それでも長女には2箇所、次女には1箇所虫歯ができてしまい、反省しています。とにかく永久歯には絶対虫歯を作らないように、頑張りたいと思っています。子どもには気合を入れていますが、自分の歯を最近怠っているので、そろそろクリーニングに行かなければ……。
以前、ある場所の取材をしている際、談笑中におじいさんが「本当に歯は大切にしなければいけない」「歯がないと、生きているのが楽しくない」とまで話していました。歯が悪いと、気持ちまで落ち込んでしまうようです。そうならないように、子どもたちの口内環境に気を配ってあげたいものです。
本田 香
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