娘たちの小学校のPTA活動には、「成人委員会」というものがあります。何をする委員会かと言うと、外部から講師の先生をお呼びして、子育てに役立つ講演会などを催します。先日、第1回目の講演会がありました。
長年不登校の子どもたちと寄り添ってきた先生のお話だったのですが、中でも「教育虐待」の言葉が出てきた時に、ハッとするものがありました。
子どものテストの点数が100点でなければ、ほかの子より字がうまければ、ほかの子より運動ができれば…など、ほかの子と我が子を比べてしまったこと、ありませんか? 私もいけないことと思いつつも、比べてしまうシーンがあります。こういった過剰な期待が子どもを追い詰めて、不登校や社会からのドロップアウトにつながる可能性があるということでした。我が家も、長女が中学受験を考えているので、もしかしたらそのこと事体が教育虐待に当たるのでは…と考え込んでしまいました。
中学受験という明確な目標があるために、自分でさえ親に言われたことがない「勉強しなさい」というワードを何度となく使っています。この言葉を発すると、自分もどんよりしますし、何より子どもが反発します。とても嫌な気持ちになっているのでしょう…。
長女の塾では、月に1度、お受験雑誌のようなものを頂くのですが、そこに掲載されている子どもたちの夢として「医者」が多いこと、多いこと…。これはどういうことなのか考えてみると、親世代が考えうる安全パイ、かつ成功者とされるのが医者という職業だからではないでしょうか。つまり、本人が心から「医者」という職業に憧れているのではなく、親の吹き込みが大いにある可能性です。
なぜこんなに「親の吹き込み」と言うのかと問われたら、実は私自身がかつて吹き込んでいたことがあるからです。のちに長女は「医者は子育ての両立ができなさそうなので、別の道を考える」と言ってきました。今考えると、ささやかな反発だったのかも…。
親の希望を吹き込むことは、子どもの可能性を潰すことにもなりかねません。子どもになるだけ失敗をさせずに、最短で成功の道を手に入れさせる。これは良いことなのか、どうか。我が子を理想的な子に育てるのが良いことなのか。そしてそれが本当に本人にとっての成功なのかどうか。もっと言うと成功ってなあに? 成功なんてしなきゃいけないの? というところまで考えてしまいます。「成功者」にこだわるあまり、人の道を踏み外してしまった親のニュースもありましたよね、最近……。
講師の先生が提唱されていたのが「ゆるく子育てをする」ということでした。
思えば、毎日笑って、楽しい気持ちで過ごせるのがいちばんです。たまに頑張ることができれば御の字ぐらいで、私もゆる~く子育てをしていかなければと思いました。
次女の学校のテスト。うん、できてなくても気にしない!
本田 香
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