突然ですが、現在長女が思春期真っただ中です。『広辞苑』によると “思春期は11~12歳から16~17歳ぐらいまでの時期に発動する”ものらしい。親になって分かったことは、この時期の子どもが一番取り扱いに困るということです。体中からツンツンしたオーラが出ているかと思えばまだ幼さが顔を出してくる瞬間もあり、まるでかわいいのに触れるに触れられないハリネズミのようです。まだまだ子どもなのに確実に大人に向かっていることが目に見えて分かります。
自分に置き換えるとこの時期は人生の中でも最高に楽しかった時期で、文字通り箸が転がるだけで友だちと笑い転げていたことを思い出します。しかし母親によると「この時期が一番かわいくなかった」ようです。親子の間にちょっとした距離が出始めるのがこの頃なのでしょう。そう、思春期は“精神的自立”の始まり。小学5年生ではできなかったことが小学6年生ではできるようになる。そのぐらいこの1年の差は大きかったです。
小学6年生になると、我が子のようなキッズケータイの子はほとんどいません。スマホ率がぐっと高まり、クラスの半分がクラスラインに参加している状況です。ここも悩ましいところ。
男子もぐっと大人っぽくなり女子は群れ始める傾向が出てきます。特に長女は群れると流されやすいことが分かりました。1人なら絶対にやらないことを集団心理でやってしまい、先生に叱られることもありました。この件について私はどう扱って良いのか悩みに悩み、色々な方に相談した結果“怒るのではなくて寄り添う”というアドバイスに従ってみました。母親と言え人間ですから、我が子に対して怒りが湧くことはしょっちゅうあります。「怒らずに寄り添える自信がない」とまた相談したところ「甘いものを用意すべし」とのことで、とりあえずケーキを買ってきて、長女が塾から帰ってきたタイミングでケーキを食べながら、長女の言い分を聞いて「みんなが良しとしても、いけないことはいけないよ」ということを諭しました。甘いもの効果はすばらしく、お互いにリラックスして話し合うことができるものですね。女子同士がケーキバイキングで和気あいあいと楽しむのもむべなるかな。怒ってもあまり良い結果にはつながらないことが多いので、良かったです。この後、他のママさんから「子どもとけんかしてヒドイことを言ってしまった」と落ちこみながら電話がかかってきたので、すかさず「甘いものを食べながら話し合うとうまくいく」と成功体験を話したら、数日後に「子どもと仲直りできた」と報告がありました。もはや思春期が始まった女の子は自分の子どもとして扱うよりも、友だち目線で話す方が効果的なのですね。
少し思春期とは話がそれますが、母になって私はやっと「悩み事を人に相談すると心がラクになる」という事実を知りました。子どもの頃から悩み事や考え事は誰にも相談することなく抱え、自己解決してきましたが、人に話すだけで悩み事の半分は解決した気持ちになるのですね。なぜ人は悩み事を人に相談するのだろう……と疑問に思っている私のような強がり母さんがいたら、ぜひ誰かに相談して欲しいと思います。子育ては大勢の意見や目があった方がうまくいくことが多い気がしています。
本田 香
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