先日、自閉症アーティストGAKUさんの個展に伺いました。
GAKUさんは今やゴディバやボディショップ、レスポなどの大企業をクライアントに抱える売れっ子アーティスト。
本当にこれだけ聞くと完全にサクセスストーリーですね。
一体どうやってこうなったの?どうやったらそんな才能を見出せるの?と尋ねずにはいられません。
カラフルポップで可愛い!GAKUさんのアート
そう。子育てをしていると、子どもに障害があろうがなかろうが、子どもが何か夢中になれることや得意なことを見つけられ、それを親として伸ばしてあげられれば、と思う親御さんは多いのではないでしょうか。そしてあわよくばその世界で成功してほしいという願望付きで。。。
ではGAKUさんの場合はどうだったのか?彼はたまたま遠足で行った岡本太郎美術館で、「太陽」の絵を見た際、5秒とじっとしていられない彼が5分以上足を止めてその絵を見ていたそうなのです。そしてなんと次の日から「GAKU、絵を描く!」と言って描き始めたのがアーティストGAKUの始まりだった、と言われています。
これだけ聞くと「全然参考にならない!」と思われるかも知れません(笑)。そうなのです。人の話って参考にならないのです(笑)。同じことをしても素通りするかも知れないし、興味を持って見てもみんなが絵を描き始めるわけではないのです。
ただ、話を聞いてヒントになることが1点だけありました。
それは子どもにきっかけを与える様々な機会を作るということが、子育てでとても大事だということです。
何が心に引っ掛かるかわからないから、と、GAKUさんの教育担当をされていたCOCOさんという方がとにかく色々な場所に連れて行ってあげ、そこで出会ったのが岡本太郎だったわけなのですが、数年前の彼なら興味がなかったかも知れないし、体調が悪ければそれどころではなくてスルーしたかも知れない。要はタイミングがたまたまあったことも大きいようです。
つまりきっかけは色々と与えるけど、それが形になるかどうか、掴むかどうかは子どもによって全然違う。世間的にいいと言われるものでもタイミングが合わなかったり、子どもが興味を持たないなんてことは当然で、実はうまくいけばラッキーくらいの確率だったりするわけです。
ですが最近では、夢や成功を逆算して与えられたカリキュラムをこなせば上手くいくと言う考え方が昔よりも一般的になりつつあり、それが真面目な親御さんや子どもたちを精神的にも金銭的にも苦しめている気がしてなりません。私自身も、日本に帰国後はガッツリと子どもの受験に向き合わなければならず、少しでも将来子どもたちが困らないように、と「逆算式」でひたすら物事を考えている時期がありました。しかし、この逆算式のマインドの恐ろしさは「成功」が当然であって、失敗したらどうしようと言う不安ばかりに囚われてしまうところです。
もちろん時として、目標のために具体的なアクションを起こす逆算式は必要。でも「本来うまくいかなくて当然なんだ」という気持ちを忘れなければ、子どもを信じて少しリラックスした気持ちで子育てに臨めるのではないかと思います。
ではまた次回!
Tschuss! (バイバイ!)
高橋ユウ
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