先日、ある芸能人の奥様が双子用ベビーカーで買い物をしている際、レジで女性に迷惑だと言われたというツイッター記事を読みました。
日本ではベビーカーを取り巻く論争ってたまにネット上で起こりますよね。
では、ドイツではどうなのでしょうか。
ドイツでは日本では考えられないくらい馬鹿でかいベビーカーを引いて、街を歩いていたり、路面電車に乗って来たりしますが、特に非難されることはありません。
と、いうよりみなさんできる限り手伝ってあげる上、ベビーカーを引いているママも軽く「ありがとう」というだけで、過剰な感謝はなし。
また、日本以上にドイツでは車椅子の方や、お年寄りもアクティブに出かけるので電車の乗り降りなど至る所で、助けている人を見かけます。
多分ベビーカーでこんなに日本では(ネット内で)争いが起きていると知れば、ドイツ人はびっくりすることでしょう。
確かに日本は狭いし、ドイツとは勝手や文化が違います。
でもその勝手や文化の違いとはなんなのか、不思議に思いました。
日本でベビーカー論争が起こってしまう理由を私になりに考えてみました。
1)迷惑の常識が違う
日本では「なるべく迷惑をかけないように」と、子育て中なら人混みではベビーカーを折りたたんだりしますが、ドイツ人にとってはそれは迷惑の範囲に入らないようです。
子供や子育て中のママ、お年寄り、身体障害者の方などは完全に弱者側に入り、喜んでヘルプをしてくれます。(これはかなり嬉しい!)
また、こちらに来て以来、ドイツ語をうまく話せないことで周りに迷惑をかけてるんじゃないかと、いつもビクビクしていましたが、みなさん曰く「全然!迷惑に思わないで。私だって日本語は話せないわ。てか、だんだん上手くなってるよ。」とむしろ褒めてくれます。
物理的、能力的に仕方のないことに関してはドイツ人は寛大で、それは迷惑ではない、という発想。
(なのでドイツに来た方は自分の下手なドイツ語のせいで迷惑をかけてる!と引きこもらず、どんどん失敗しながら喋ってみましょう!)
ちなみにドイツ人の思う迷惑は「日曜日にうるさい音を立てない」「自分の庭を綺麗に保てない」などのようです。
2)ドイツは話し合い文化
その場で話し合えば、ネット上での議論にまで持ち越さずに済むこともあります。
ドイツ人ははっきりものを言うので、普段から喧嘩になりそうなシーンもしばしば。
しかし、みんな言い返すんですよね。
「ここにものをおいたら邪魔よ」と怖そうなおばさんに言われれば「子供が急に飛び出しちゃって!急遽追いかけなきゃならなくて!置きっ放しだったの。失礼!」と言い返す。(というか事実を伝える。)
眉間にしわの寄って怒っていたおばさんも、状況を知り、急に「あら、そうなの」とにこやかになることもしばしば。
喧嘩ではなく、お互いに思っていることを伝えることで状況が随分とやわらくなるんだなとドイツに来て感じました。
先日は混雑しているパン屋さんで、お客さんのおじいさんが、注文を間違え何度も言い直していたところ、お店の人が「ちょっと!困るわよ」とイライラ。
隣にいた人が「お年寄りなんだから間違えることくらいあるでしょ!」と言い返し、なんだか周りの空気も穏やかに。
ドイツ人は誰とでもよく喋るので、こうやって自分の思っていることを出し合えるのは純粋に羨ましい。。。。
ただ、裏を返せば、喋らないのは意見がないとみなされる社会でもあります。
だからこそ、ドイツ語をもっと頑張らねば。。。
3)日本はやっぱり余裕がないかも。。。
一番思うことは、ベビーカー論争が主に起こっている日本の首都圏は、やはり人が多すぎる。。。
首都ベルリンが人口約350万人なのに対し、東京都だけで1000万人以上住んでいる日本。
やはりこれだけの人がひしめき合って生きてる中でベビーカー論争が起こるのは当然ともいえるでしょう。
物理的に面積が減るので、確かにストレスだと思います。
そして正確に時間内に全て済ませなければ!という日本社会全体のプレッシャーなどがあるのではないか?と思います。
ただ、私自身の赤ちゃん育児期を振り返っても、ベビーカーを引いてるほとんどのママたちは人に迷惑をかけてやろうだなんて思っていないはずです。
『しまった!ぼんやりして並んでしまったレジが狭かった!結果迷惑をかけてしまった!』といった、人間誰にでもあるうっかりミスであったり、また迷惑をかけないよう努力しても『計算外』の事態が起こることも。
間違いを責めるのではなく、人の間違いにも寛大な社会になれれば、と個人的には思います。
では、ドイツは間違いも責めず、寛大なのか!?と言われれば。。。
ドイツは日本より確実に「寛大」だと思いますが、まあ悪く言えば日本に比べ、かなり「いい加減」(笑)です。(書類面だけはかなりきっちりしていますが!)
パン屋のケーキにハエが乗っていても誰もさほど気にしなかったり(結局売れませんが。。。)、小包がかなり雑な扱いだったり、急ぎの案件に対し担当者ががっつり夏休み取っていなかったり、電車も結構普通に遅れてくるしで、日本のような正確さになれるとイライラしてしまいますが、これも皆が「物理的に能力的に不可能」とみなし、なんだかいつもなんとかなっている、社会が回っているという凄さ。
おかげですっかり私も慣れてしまい、まあいいか、と、「良い加減」になってしまいました。。。。
欧州一のマジメ国ドイツがこれなんだから、他の国って一体どうなっているんでしょうか。。。?
ちょっと繊細なテーマのため、書く際、ビクビクしてしまいましたが(汗)、ベビーカー論争というテーマを通し、純粋にドイツと日本の文化や感覚の違いを感じてもらえれば嬉しいです。
ではまた次回!
Tschuss!(チュース:意味 バイバイ)
高橋ユウ
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