気がつけば2020年も半年が経ちました。
コロナが世界的規模で蔓延し未だ収束の兆しも見えない状態ですが、そんな中、今度はアメリカで「Black Lives Matter」運動が。
なんともハードな一年でありますが、この運動、多民族国家であるドイツにも影響があるのではないかと思っていた矢先、やはり飛び火し、ミュンヘン 、ベルリンなどの大都市でも行われるように。
事実ドイツは4人に1人が移民の背景を持っているほどの人種のるつぼです。ただアメリカとは異なりアフリカ系以上に、元々出稼ぎ労働者として移住してきたトルコ系や東欧系、イタリア、スペイン系、また戦争で逃れてきたアラブ系の人が多いのが特徴です。
では実際に人種差別はあるのか?
基本的に良識あるドイツ人の多くは「人種差別など馬鹿げたこと」などと反対しています。
ただ、ドイツには「AfD」(ドイツのための選択肢)というスーパー極右政党があり、この政党、とにかく外国人が大嫌い。いわゆる「純血ドイツ人」の社会を作りたがっているかなり危険な政党です。こんなのに政権を取られてしまったら、ちょっとドイツにはいられないほど危険を感じる政党ですが、2019年には第2党に躍り出たほどで、現在はほぼ第3党以下に落ち着いていますが、依然として一定の支持者がいることを考えると、外国人を嫌悪しているドイツ人も一定数いるということは明らかです。
それでもドイツ社会はそれなりにうまく多民族国家をやっているように見えます。移民の背景があれど、ドイツで生まれ、ドイツ語を母語として喋り、学校ではドイツ人の友達とつるんで育った子たちは私から見ればほぼ完全にドイツ人です。そうした子が同じ能力があるにも関わらず、移民の背景があるというだけで差別されるというのであれば、それは本当に悲しいことですし、完全に人種差別に当たると言えるでしょう。ただ、その一方で自分も外国人としてドイツに住む色んな国籍の人と接してきましたが、「まあ、これはちょっと嫌がられるのも分かるかもな…」といった事例もそれなりに見てきましたので、今回は自戒も込めてその話をしてみようと思います。
まず、ドイツ社会に文句ばっかり言っている人。
これは当然ながら嫌がられます。私が4年半前、ドイツに来て最初に入った語学学校のクラスは7割くらいが難民の方だったのですが、その半分ほどの生徒は文句ばかり言っていました。「ドイツなんて住みたくないけど仕方ないんだよ」みたいなスタンスで同胞としかつるまず、態度も悪く。しまいには「バイトを見つけたから学校はやめる!もうドイツ語喋れるし!」とめちゃくちゃなドイツ語?で熱く語り、先生に反対されても当然無視してやめていく…。もちろん慣れない海外生活に不満はつきものですが、職もなく言語もできない、でも安定した生活をしたい、と言われても、やはりこれではドイツ人も「だったら出ていけば?」となるでしょう。。。一生懸命頑張っている人もいる反面で、こうした人がいるのも事実です。
次にモラル、マナーの悪い人。電車に乗り、車窓に目をやると、線路沿いに洗濯物をベランダに干しまくっている古く寂れたアパートを見かけることがありますがこれはほぼ確実に貧しい移民の人達だけが住むアパートです。ドイツでは外から人目に見える場所に洗濯を干すのは禁止されているので、一般に常識のある人はまずやりません。また大抵こうしたアパートはゴミも分別されておらず、また共用部の破損なども多い可能性が非常に高いため、安全&綺麗好きのドイツ人からすれば「これだから移民は」と眉を潜められても仕方ないと言えるでしょう。こうした建物やその周辺はトラブルも多いため一般のドイツ人ならまず避ける物件です。「なんでも経験。あえてそうした物件に住んでみようかな。」などど間違っても思わないこと。ドイツにいながらにしてそこにドイツ社会はまずないと思っていいでしょう。
また、自分たちの生活が脅かされるような事態にさせられることも当然嫌われというか…恐怖でしょう。とマスクですら嫌悪してしまうほど顔を隠すのを嫌がるドイツで、目まで完全に隠れてしまう真っ黒なニカブやブルカの人が街をゾロゾロと常に大人数で闊歩していたら、それはどんなに彼女らにとって大切なことだとしても、ドイツ社会では受け入れがたいものになります。私も正直な感想を言うと、「怖いな」と感じるでしょう。「大切にしていること」の価値観の違いは大きいです。
と、今回はネガティブなタイプを紹介してしまいましたが、移民の背景を持つドイツに住む人たちの多くは、ルールを守り、周りとも折り合いをつけてうまくやっており、すごいことだなと感じています。またドイツ側も挨拶をし、コミュニティ に入ろうと努めている外国人や移民の人達には好意的な場合が大半。ただそれでも、日本でも共通点のない人と仲良くなるのは難しいですが、ましてや言語の壁、文化的背景の違いを超えてお互いを理解する難しさは私も日々実感しています。まあ、あとは好みもあるでしょう。「あの文化の人たちはなんとなく苦手かも…」という個人的な感情。ドイツでも、日本文化に興味を持っている、また日本に対してポジティブな印象を持っている人は一定数いて、そうした人とは仲良くなりやすいですが、アジア人が苦手という人もいると思いますし、明らかに仲良くなれなさそうな印象の人もいますので、こちらもそうした場合は距離をおきます。まあ日本人同士でも誰とでも仲良くなれる訳もないですしね…。心の中で思う程度ならまだ問題ないのかもと思いますが、その思いが実際の行動になって出てしまうと差別問題にも発展しかねないのかなと思います。
*見た目がアジア系で、しかも雰囲気も似ているとものすごく親近感。「自分に似ている=仲間」に感じるのは本能なのなのでしょうか?
ちょっと?というか完全にアメリカの黒人差別問題からは大幅に離れてしまいましたが、現時点での私から見たドイツでの多民族国家で思うことをつらつらと書き連ねてきました。社会問題は難しく、まだまだ自分の周辺程度の内容しか書けませんが、またアップデートし次第、書いていこうと思います。
ではまた次回!Tschuss!(チュース!:バイバイ)
高橋ユウ
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