突然ですが、長男アユの夢は漫画家だそうです。
もともと超インドア派で絵を描いたり物語を読むのが大好きな子で、帰国してからは大好きな漫画を片っ端から読んでいます。
今、一番好きな場所は?と聞かれたらおそらく「ブックオフ」と答えるでしょう(笑)。
夢を持つのは素晴らしいこと。とは言え、正直私としては複雑です。できれば諦めて欲しいな、と密かに思っていたりします。
自分が漫画やイラストを描く仕事しているのに…。(よく言うよ、とうちの親にも言われました。。。)
理由としてはやはり大変だということ。運と実力でデビューでき、その後数年間はなんとか仕事が来たとしてもでは漫画家を生涯やり続けられるか?となると経験者としては、神がかった能力のある人以外は決して容易でないことがもう分かっているので、楽観的に「いいね!頑張って」だなんて応援することは到底できません。
そして、漫画家を目指す学生にはもう1点問題があります。
漫画は紙と鉛筆さえあれば簡単にどこででも描けるが故に、勉強しているつもりがいつの間にか漫画を描いてしまい勉学に集中できなくなるという点です。ある意味、机に向かう受験勉強と漫画を書くという行為は「机に向かっているフリをしているので親に怒られない」という利点?がある故に相性がいいのです。
多感で脳がよく動くこの年代には頭の中は妄想やファンタジーでいっぱいになりがち。
私も物語を考えることが本当に大好きで、いつも頭の中が自分の考える話でワクワクしていました。
(今はすっかり枯渇してしまいましたが。とほほ。。。)
というわけで今のアユを見ていると、昔の中学、高校時代の自分を見ているようでドキッとするのです。
私自身も絵が好きで漫画家になりたいと思っていましたが、そんなのは夢物語だ、いい大学に入っていい仕事に就きなさいと親に言われ反発してきました。高校も進学校だったのでそうした夢も先生や周りにあまり語れませんでした。
そのため勉学の目標がなかなか持てず、結局なんとか入れた大学に進学し、そこから自分探しなるものを結構な期間してしまいました。
だから子どもには頭ごなしにやめなさい!とは言わないように決めています。
ただ今思うと、当時の周囲の大人にはイラストや漫画家のリアルな生活なんて知っている人は誰1人おらず、いい大学に入りいい企業に就職というのもただのイメージだったんだなと思います。
今、フリーランスで仕事をし、絵の上手さ以上に自分の付加価値、例えば知識だったり、経験だったり、資格だったり、人の繋がりだったり…そして環境が変わっても順応したり変化できるしなやかさが大切だなと感じます。あのとき、「今学ぶことは漫画家になったときに役立つよ」と夢を肯定された上でアドバイスされていればもっと勉学に打ち込めてたかもな、と感じるのです。
実際にアユも勉強に全然身が入っていない、そして全てにおいて反抗的という時期がありました。こっそり漫画を描いていることは知っていたのでつい心配になり、高校はどうするの?と聞くと一気に不機嫌になる。そんな時期でした。
なのでアユには漫画家の夢も肯定しつつ、学ぶことは決して無駄になることではないよという話をなるべくするようにし、少しづつアプローチすることに。(野生動物に近づく感覚で(笑)。)日本の生活に慣れてきたのもありますが、少しづつ自分の強みや弱み、自分のやりたいこともクリアになってきたのか、「大学受験に対して強いやる気が持てないなら大学附属高校なんかもいいね、それなら入学してから漫画を描いてもいいし。」「得意分野の国際系や語学系を伸ばして知識を増やすのもいいんじゃない?だっから国際系とか。」などと一緒に話すことで、高校受験にもかなり前向きになってきた気がします。
*半年前は全く「聞く耳持たず」だったアユもようやく日本の生活に馴染み、進路の話についてもできるようになってきました。頭ごなしに「高校どうする?」とプレッシャーを与え続けていたことに反省。
親になった今としては、当時周りが私に必死でアドバイスをしていたこともよく分かります。が、同じようにしては反発するだけなので、そこだけは気をつけるようにしています。かと言って積極的に応援はしませんが(笑)。
まだまだ子どもの将来は分かりませんが、小さな点たちがいつか一本の線に繋がる日が来る、だから無駄なことは決してないよ、と自分自身にも言い聞かせながらも、子ども達に学ぶ大切さを伝えていけたらなと思います。
ではまた次回!
Tschuss! (チュース:バイバイの意味)
高橋ユウ
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