第7章:愛という曲芸〜
最初は時間をかけてスケールの練習から始めるのが、蒔野が幼少期から墨守してきた習慣だったが、この日は、軽く指慣らしをして、いきなりヴィラ=ロボスの練習曲第一番を弾いてみた。続けて第三番を演奏し、苦笑したり、首を傾けたりしながらどうにか最後まで辿り着くと、天を仰いで一人で声もなく笑った。そして、下を向くと、たったそれだけで息を切らしたような情けない両手をみつめた。
「12の練習曲」(ヴィラ=ロボス)より
第8章:真相〜
公演のプログラムは、ジュリアン・ブリームとジョン・ウィリアムスの編曲によるドビュッシーの《月の光》や、ブローウェルの《トリプティコ》、ピアソラの《タンゴ組曲》など、ギターファンにも馴染みのある曲から、《この素晴らしき世界》にも収録したトッド・ラングレンの《ア・ドリーム・ゴウズ・オン・フォーエヴァー》のようなポップスまで幅広い内容で、最終日には殊に、蒔野の編曲によるモーツァルトの弦楽四重奏第十七番《狩》の第四楽章に最も手応えを感じた。
14.月の光 〜ベルガマスク組曲より(ドビュッシー/鈴木大介編)
第8章:真相〜
蒔野はその日、南青山のブルーノートで催されたベルギー人のテルミン奏者のコンサートに、ゲスト参加していた。共演者は他にもいて、蒔野は、ラフマニノフやラヴェル、ヴィラ=ロボスらのヴォカリーズ作品が演奏される場面で伴奏を務めた。
*アルバムではテルミン楽器をソプラノ歌手に置きかえています。
15.ヴォカリーズ 〜ハバネラ形式のエチュード(ラヴェル/福田進一編)
16.アリア〜ブラジル風バッハ第5番 より(ヴィラ=ロボス)
マチネの終わりに and more
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