(C) 手塚プロダクション・虫プロダクション
DVD-BOX 1 封入解説書「シルバーランド・ファイル」より

―はじめに―●虫プロが生んだ少女アニメの名作●
『リボンの騎士』は、漫画家・手塚治虫氏の同名原作をもとに、虫プロダクションが製作したテレビアニメシリーズである。1967(昭和42)年4月2日〜1968(昭和43)年4月7日にフジテレビ系で全52話が放映された。
 制作スタッフは、総監督的な立場で指揮をとる手塚氏を中心に、1966年6月に放映終了した『W3(ワンダースリー)』の班から中村和子氏(作画監督)、大貫信夫氏(デザイナーディレクター)、西田稔氏(美術)、9月に編成の組み直しが行われた『ジャングル大帝』班から赤堀幹治氏(初期ディレクターチーフ)、勝井千賀雄氏(中期以降チーフディレクター)、瀬山義文氏(設定監督)、冨田勲氏(音楽)、『鉄腕アトム』班から能加平(平見修二)氏(脚本)など実力派メンバーが結集。名作童話、伝承の要素をふんだんに盛り込んだファンタジー空間を舞台に、主人公サファイヤの美しくも凛々しい活躍を、宝塚歌劇的な香りを漂わせつつ華麗に描くことに成功した。
 本作は、東映動画(現・東映アニメーション)が前年末に送り出した『魔法使いサリー』(1966年12月〜)と並び、少女マンガ原作を映像化した最初のTVアニメとして位置づけられる存在である。また、初めて具体的に“少女向け”を目指して作られた点でも画期的な1作だった。幼児〜小学校低学年が中心的視聴者と認識されていたTVアニメでは、対象年齢の子どもたちの性が未分化であるとの判断から、それまで、特に女児層だけを意識して作品が企画される例はなかったのだ。
 TVアニメ『リボンの騎士』は、今日では当たり前になった“少女向けアニメ”の出発点として、まさにジャンルそのものを開拓、確立した意欲作だったと言えよう。

本DVD−BOXの特色
 虫プロの名作アニメとして高い評価を得る『リボンの騎士』は当然のことながら、過去数度にわたり映像商品化されてきた。しかし今回のDVDシリーズでは、これまでの商品に収められた映像を単純に踏襲することは避け、初心に還って内容の吟味を行った。その結果、発掘できた映像は本DVD中に、判明した事実は本解説書中に余すことなく収録、公開してある。
 最も貴重な映像は、本放映初期に使用されたオープニング(「インスト版」と「歌入り・王子版」の2種)である。これまでソフト化されてきた映像とは、メインタイトルの出る位置やスタッフテロップの内容が異なっているのが特徴だ。音声面から見ても、「王子版」主題歌のオープニングが収録されるのは本DVDが初の快挙である。残念ながらフィルムの退色が激しく各話への収録は難しかったため、映像特典という扱いをとることにした。また、それ以外に発掘されたオープニングやエンディングのバージョン違い(映像や音声の内容が異なるもの)もすべて映像特典として収録した。
 解説書では、虫プロ社内に保管されていたオープニング、エンディング及び各話の絵コンテを抄録。その多くが色鉛筆で着彩され、マンガ原稿のように丁寧に描き込まれたものまで存在する事実からは、当時のスタッフの情熱が垣間見られるはずだ。また、本作はテロップカードが散逸しており、エンディングクレジットの画像復元は惜しくも果たせなかったが、カードの原稿である「タイトル連絡表」は現存。32〜35頁では、それをもとに書き起こしたスタッフリストを作成、掲載している。





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