コロムビア『日本の楽器』セミナー

セミナーの様子 セミナーの様子
 平成13年12月15日(土)午後3時より、日本コロムビア(株)本社4F大会議室において、友渕のりえ先生による、コロムビア「日本の楽器」セミナーが催された。
 日本コロムビア 邦楽制作部では、昨今の邦楽ブームや今年度からの学校教育に和楽器が導入されるという状況を踏まえ、「日本の楽器」と題して10枚シリーズのCDを発売(別ページ参照)しているが、このセミナーはそれに基づき今回、筝の生田流大師範・友渕のりえ講師を招いて、実際に筝に触れたり、またその楽器についての理解を深めることによって、一般の方々及び学校の先生方への一助となるような内容で行われた。
 当日は、50人以上の受講者が集まり、1時間近い講義を熱心に聞き入り、その後、実際に筝に触れたり演奏する事で、知識と経験を結びつける有意義な講習となった。以下レジュメを参考までに。


  1. 筝(そう)について
    1. 筝曲を中心とした日本音楽史概論
      • 琴(きん)と筝(そう)の違い。さまざまな“こと”
      • 筝曲のはじまり
         雅楽から筑紫筝まで
      • 筝曲の発達と発展
         筝組歌〜手事物(地歌との結合)〜替手式(合奏形態)〜唄浄瑠璃〜
         新筝曲(西洋文化の輸入、明治新曲)〜洋楽との融合(現代邦楽)
      • 流派とその流儀
        ・筝曲の系統
        ・組織(当道職屋敷) 階級(検校(けんぎょう)、勾当等)
        ・八橋流・生田流・山田流・京極流

      セミナーの様子
    2. 楽器の知識
      • 筝の材質とその構造及び名称
      • 筝の種類(十三絃、十七絃、二十絃、二十五絃、三十絃等)
      • 爪の材質とその種類
    3. 演奏法
      • 流派による違い
      • 調絃法
      • 楽譜について、記譜法
  2. 実演コーナー
    • 基本事項
      • 座り方
      • 柱(じ)のたて方
      • 調絃のとり方
      • 爪のはめ方
      • 音の出し方、指の使い方
      • 左手の使い方


セミナーの様子 友渕のりえ楽歴

生田流箏曲を母(友渕富志・正派邦楽会大師範)に学び、その後、中島靖子、平井澄子、菊原初子に師事する。

1974年
(昭和49年)
第1回リサイタルを開催、以来2000年まで“『友渕のりえ日本の唄』リサイタル”を毎年開催し、通算24回を数える。
1984年
(昭和59年)
長野県芸術文化使節として渡欧し、オーストリア各地で公演。
1988年
(昭和63年)
文化庁芸術祭賞受賞。
1990年
(平成2年)
菊原初子(人間国宝:重要無形文化財保持者)に野川流三味線組歌を師事。
『近藤幸子・友渕のりえ「長唄・地歌協演の会」』結成、以来5回開催する。
1991年
(平成3年)
日本コロムビア株式会社よりCD『日本の唄・友渕のりえの世界』を発売。
信越放送ラジオ番組『友渕のりえの邦楽歳事記』を1992年まで担当、2年間出演。
1992年
(平成4年)
菊原初子より野川流三味線本手組歌を全曲習得し、「皆伝の巻」を受ける。
高崎芸術短期大学音楽科の講師に就任。
1996年
(平成8年)
松尾芸能賞を受賞。
菊原初子より筝曲組歌を全曲習得し、「皆伝の巻」を受ける。
1999年
(平成11年)
松本市芸術文化協会より「音楽賞」受賞。
現在、各地でリサイタル等の演奏活動の他、芝居音楽、舞踏音楽の演奏、放送、レコード(CD)等に出演している。
生田流正派邦楽会所属、正派大師範(雅号:友渕雅扇)
日本三曲協会々員、桐の会々員、みすず音楽事務所代表、友渕会主宰。